2016年経営メッセージ

 


日本のお客様向けに、より洗練したケイパビリティを提供していきます

■お客様との絆をより強く、新たな取り組みにもチャレンジ

昨年度は、おかげさまで日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ(日本TCS)にとってお客様と当社との双方向理解を深め、絆を強くする一年になりました。体制面では、金融業や製造業、小売業などの業種・業界別に分けた縦のラインであるビジネスグループが、お客様とより親密な関係を築き、理解を深めてきました。
縦軸に横串を通すサービスグループでは、ADM(アプリケーション・ディペロップメント・メンテナンス)、エンタープライズソリューション、ITインフラ、エンジニアリングなどのサービスラインが、そのラインごとに展開しているグローバルなオファリングを、日本のお客様に適応するよう価値を深めた上で提供してきました。今年度もわれわれの取り組みの根幹は変わりません。お客様のビジネス理解の深化はもちろんのこと、既存のオファリング強化や当社の人材のさらなる能力向上、お客様のビジネスに寄与する新技術の習熟などに一層注力していきます。その中から、われわれの最新の取り組みの一部をご紹介します。

代表取締役社長
アムル ラクシュミナラヤナン

・アシュアランスサービス

ITの進歩によるシステムの大規模化とともにテストの高度化・複雑化が進む中、独立した専門チームがテストを実施することにより品質の向上と可視化を進める活動(第三者検証)に注目が高まってきています。第三者検証のメリットには、不具合(バグ)摘出率の改善、上流工程での品質設計精度の向上、テスト工程での不具合減少やタイムリーな分析、判断を支援するためのツール活用等があります。
近年、日本市場においても高い技術力と豊富な実績のあるパートナーにテストを依頼し、テスト効率・品質の向上、コストの最適化を継続的に志向する傾向が広がっています。タタコンサルタンシーサービシズ(TCS)では第三者検証が注目される以前から「アシュアランスサービス」として数多くの企業へサービスを提供し、テストに係わる多種多様なノウハウを蓄積してきました。
日本TCSにおいてもグローバルで培った独自のノウハウ、技術を日本企業向けに適応し、検証サービスを実施することで、お客様の期待を超える付加価値をご提供いたします。


・デジタル

TCSでは、クラウドやビッグデータ、アナリティクスなど企業の破壊的変化、いわゆる“Disruptive Innovation”をもたらす革新的な技術として、デジタル活用のために独自のフレームワークを考案し、デジタルを活用したシステム導入のサポートやロードマップの整備、その評価に着手してきました。
また、日本TCSでは、これまでの調査・検証実績を生かしてIoTのオファリングを立ち上げます。その内容は自社独自のプラットフォームもあれば、他社と連携するものもあります。一例として、TCSはかねてからの開発パートナーであるGEと、同社が立ち上げた産業用アプリの開発を加速させるプラットフォーム「Predix (プレディックス)」を活用する戦略的パートナーシップを締結しました。Predixはいわばクラウド用のOSで、高性能なアプリケーションを備えています。このプラットフォームを核として産業用アプリ開発が進めば、世界中の設備や機器がつながる時代が訪れると期待されています。既にTCSでは、通信衛星からの画像分析や、サプライチェーン・モニタリングといったPredix向けの新たなIoTソリューションを開発中です。こうした社外の優れた知見も組み合わせて、お客様がより良い形でIoTを利用できるよう、アドバイスや活用方法の提案、プラットフォーム選びなど、多様な面からお手伝いします。


IoTがビジネスに変革をもたらす

・エンタープライズソリューション

当社の重要なパートナーの一社であるSAPの製品においても、ERPはもちろん、リアルタイムのデータ分析を可能にするS/4HANA、オムニチャネルのeコマースを実現するSAP Hybrisといった最新テクノロジーの検証・導入を積極的に実施しています。加えて、日本TCS本社内には、システム導入前にこれらの最新技術の概念実証(PoC)を行い、お客様の持つビジネス課題や技術的課題に応じたソリューションを体感いただけるSAP Innovation Lab Tokyoを設立しています。
また、今年度からCRM(顧客管理)ソフトウエアやコールセンター・システムを世界最大規模で展開するSalesforce.com社製のクラウド・ソリューションを日本TCSでも本格的に推進して参ります。TCSはSalesforce.com社のGlobal Strategic Partnerであり、国内においても密に連携し、お客様の営業活動を支援する最適なクラウド・ソリューションをスピーディに提供します。

・ITインフラ

われわれが重視しているのが、現行システムを生かしつつインフラを最新の技術で刷新するレガシーモダナイゼーションです。その実現のためのロードマップづくりや、アプリケーションとインフラマネジメントサービスの統合、クラウドへの移行など、お客様に合わせた最適な実現方法をご提案しています。昨年度、日本発のコミュニケーションインフラサービスとしてリリースした「ASTEPLUG CI」もその実現を助けるツールの一つで、社内コミュニケーションの活性化や企業グループ間の情報共有の促進をサポートします。
また、システムの可用性や運用品質の向上を図る一つの手段として、日本TCSでは、インド・プネにある日本企業向け専用デリバリーセンター(JDC)内にコマンドセンターも整備しています。三鷹にあるコマンドセンターと連携し、お客様のインフラ統合の過程やサーバーの状況を、リアルタイムに監視・分析し、予知保全することができます。加えてバイリンガルオペレーターによるサポートなど、グローバルでビジネスを展開するTCSならではの強みも備えています。


・エンジニアリング

この分野では、プロダクトライフサイクルマネジメント(PLM)の導入を推進しています。製品の企画・開発から製造、販売、さらには生産終了に至るすべての過程を効率的に管理・進行するために、AIやロボティクスなどの先進的な技術を組み合わせてご支援します。このほかにも、他社と連携して、自動車の安全運転を支援する制御機能であるADASや自律走行車の開発などにも力を入れています。

このようなTCSの多様な知見やサービスを、お客様のニーズに応じた形でお届けしたいと考えています。透明化の促進やインフラのレガシーモダナイゼーション、維持管理の効率化など、お客様のビジネスの発展に貢献するITの実現に取り組んでいきます。


■高品質なサービスを支える人材育成を強化

サービスやオファリングを支える人材面についても一層強化していきます。これまでも人材面では教育に最も注力し、社員一人一人が、その分野でベストの人材と評されるような最高水準のプロフェッショナルを目指しています。特に、デジタルのような新テクノロジーや、プロジェクトマネジメントの分野では多くのプロフェッショナルを養成しています。
人材育成の施策の一つとして、JDC内に昨年度に開設した研修施設「光アカデミー」は、日本のお客様向けに優れたサービスを展開できるよう、言語だけでなく、文化や商習慣までをカバーしたカリキュラムを展開しています。日本の社員にはグローバルで求められる商習慣などを、インドの社員には日本企業に期待される仕事の進め方などを理解するという双方向の目的を担っています。この研修は新入社員や中堅社員といった経験年数に限らず、すべての社員に実施しているものです。加えて、重要顧客をサポートする目的で、三菱商事様の社員研修の一部に光アカデミーを利用していただいています。


グローバルな人材育成を行う光アカデミーも設置したJDC


 

■社員とともに取り組むCSR

ビジネスの取り組みとともに、企業市民として欠かせない活動がCSRです。日本TCSでは、TCSのCSR方針に基づき、日本の特性や状況に合わせた実効性の高いプログラムを展開しています。例えば、三菱商事が主催する東日本大震災の復興支援活動に多くの社員がボランティアとして活動しています。また、本社のある東京都内でも、地域の清掃活動など、社員が積極的に参加し地域への貢献にも力を入れています。
さらに、社員やその家族の健康増進施策として「Fit 4 Life」というTCS独自のプログラムも実施し、チャリティーマラソン大会への協賛や社員の参加を通じて、より良い社会づくりの基盤である、個人の健康のサポートなどにも取り組んでいます。


地域の清掃などのボランティア活動に社員が積極的に参加


■お客様のパートナーとしてともに前進を

TCSは35万人強のスケーラビリティによるグローバルなケイパビリティを生かしたサービスを提供しています。金融業、製造業、小売業など各業界の中でも世界でトップクラスのお客様をご支援してきた高い知見を礎に、これまでの蓄積だけでなく、新しいテクノロジーにも積極的に投資し、お客様に価値のある先進的な分野にも取り組んでいきます。
そうした世界中で培ってきたケイパビリティや知識を、日本のお客様への理解を通じて日本向けに洗練させ、ビジネスの差別化を生む、より革新的なサービスとして提供していくことが当社の重要なミッションです。日本TCSは今年度もお客様にご支援いただきながら理解を一層深め、ともに歩んでいきたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします。



2016年5月
代表取締役社長 アムル ラクシュミナラヤナン (Amur S. Lakshminarayanan)