株式会社市進ホールディングス様

 

新基幹システム構築プロジェクト


GeneXusの活用により開発期間・コストを削減
将来を見据えた継続的な開発環境を実現

プロフィール

設立:1975年(創業:1965年)
資本金:13億7,590万円
本社所在地:千葉県市川市
事業内容:市進学院や個太郎塾などを運営する教育専門組織「市進教育グループ」全体の経営戦略策定ならびに予算統制
http://www.ichishin.co.jp/

48年間にわたり教育事業を展開する「市進教育グループ」様は、2010年、グループ内経営機能のさらなる強化と機能的な企業・組織再編を目的にホールディングス化。創業以来の学習塾事業にとどまらず、予備校、個別指導、家庭教師派遣、Web事業、幼児教育、日本語学校、さらに高齢者向け住宅サービス、障がい者雇用促進など、「教育」に軸足を置いた幅広い「総合教育サービス」企業グループとして成長を続けています。グループの中核である市進ホールディングス(以下市進HD)様に対し、当社は、アプリケーション自動生成ツール「GeneXus」を活用した新基幹システム「iNET」構築支援を行いました。

GeneXus活用プランで予想を覆す逆転採用

2009年、グループ企業のホールディングス化を進めていた株式会社市進様では、基幹システムの統合・一元化を図り、新たな基幹システムを構築するための検討会を立ち上げました。当時は、学習塾・予備校などの集団授業向け基幹システムを中心に運用されていましたが、新たな事業・サービスを展開していくために、業務の変化に応じたシステムの迅速な対応も求められていました。また、個別指導や通信添削など、業務ごとに別のシステムが6つもあり、生徒情報の管理や社内処理の煩雑化という問題も抱えていました。これらのシステムを統合し、一元化した高品質なサービスを迅速に提供することで「市進」ブランドをより生かした事業展開を進めることが、新基幹システム構築における最大の目的でした。

2010年3月にホールディングス化を果たすと、いよいよプロジェクトが本格的に始動しました。新基幹システム構築に当たり複数社に声を掛け、ベンダー選定のためのコンペをすることになりました。プロジェクトリーダーとして旗を振った、情報管理部 IT戦略推進室 室長の今林 豊様は、当時を振り返りこう語ります。「それまで御社とはまったくお付き合いがなかったこともあり、お声掛けしたものの、ご提案いただくまでは正直採用することになるとは思っていませんでした」。

そうした中、採用に至った最大の理由は、アプリケーション自動生成ツール「GeneXus」を活用した導入プランにありました。しかし、当初は「これは画期的な提案だ」という気持ちと、「にわかには信じられない」という思いが同時に存在したと言います。
「開発コストも期間も大幅に削減されるプランでした。こんなうまい話はない。きっとどこかに穴があるはずだと思いました」(今林様)

既存の基幹システムを構築した今林様だけに、そのまま鵜呑みにはできないと特に感じられたのでしょう。市進HD様は、その不信感を払拭するため、当社の紹介によりGeneXusによるシステム開発を経験していた企業を訪問。さらに念を入れて、当社とは無関係の導入企業を探してリサーチもしました。その結果、GeneXus活用のメリットを確信するに至り、当社案の採用となったと言います。
「その間、何度もデモンストレーションやパイロット版を見せてもらいましたし、時間をかけて丁寧に説明もしてもらいました。提案内容もさることながら、そうした熱心な営業活動も、採用に至る大きなポイントだったと言えるでしょう」(今林様)

お客様の社内に常駐することで密なコミュニケーションを実現

システム構築プロジェクトは2010年11月にスタートしました。2011年の3月までは業務フローを作成しルールを整理する要件定義フェーズに当て、4月からアジャイル型の開発が始まりました。ゴールは2012年の5月。ゴールデンウイーク明けのサービスインは必須要件でした。なぜなら、データ移行を行うにはどうしてもシステムを数日間止める必要があるからです。教育事業だけに土曜日も営業、夏休み期間は普段よりも繁忙期ですから、ここを超えると年末年始までずれ込んでしまいます。GeneXusによるシステム開発を採用した理由には、こうしたスケジュール上の課題も解消できることにあったわけです。

システム構築フェーズを細かなプロセスに分割し、短期間の開発サイクルを繰り返していくアジャイル型開発において、細かな要望に対応しながら全体のスケジュールを短縮するというメリットを十分に生かすためには、お客様とシステム構築メンバー間で、日常的にいかに密なコミュニケーションを取れるかということが重要になります。そのため、当プロジェクトでは、市進HD様の社内にプロジェクトルームを置き、当社メンバーが常駐する体制を敷きました。

既存の個別授業システム立ち上げの中心メンバーだった、情報管理部 IT戦略推進室 セクション長代理の斉藤 明様は、「プロジェクトルームの設置により、実際にシステムをつくる担当者と、開発中に直接話ができたということが、プロジェクトの進行において大きなポイントとなりました。もちろんPMを介してのコミュニケーションでも問題はないのですが、やはりスピード感、ストレートな伝達という点では勝ります」と語ります。

市進HD様のメンバーは5人。いずれも専任ではなく、日常業務をこなしながら、何とか時間を捻出してプロジェクトを進めました。決められた打ち合わせ時間以外でも、必要があればすぐに顔を突き合わせてその場で方針決定という連続。さらに、データベースの構造変化に伴い、移行データの整理、変更はユーザー側で対応したため、予想以上の負荷がかかったと斉藤様は振り返ります。

全体最適と個別最適のギャップで想定以上の苦労

プロジェクトにおいてはスケジュールを順守し、とにかく予定通りにサービスインすることを最優先課題としました。開発段階でユーザーからの声を吸い上げることよりも、まずはシステムを稼働させることを優先し、必要なインターフェースの工夫や機能の追加があれば、サービスイン後に付け加えていくという方針です。これもまた、GeneXusだからこそ可能な方法論であり、そのためにカスタマイズは最小限にとどめ、ほぼ標準仕様での開発を進めました。

プロジェクト進行中にも、新たな業務サービスがスタート、会社のルールの変更など、システム開発に大きな影響を及ぼす要素がいくつか発生しましたが、標準仕様での開発が功を奏し、プロジェクトはスケジュール通りに進行。2012年の1月からはテストとデータ移行フェーズに入り、ゴールデンウイーク明けに無事サービスインしました。

しかし、開発中よりむしろサービスイン直後が最も大変だったと斉藤様は振り返ります。開発方針を決めた時からある程度織り込み済みではあったのですが、現場ユーザーから使い慣れないユーザーインターフェースに関する不満や問い合わせが予想以上に寄せられたからです。特に個別授業のシステムは2006年に開発したWebシステムが浸透しており、その操作に慣れたユーザーにとって、GeneXusの標準仕様は使い勝手が悪いものに感じられてしまったようです。
「まずは新システムを動かすことを優先させ、インターフェースに関してはある程度目をつぶるという方針で進めていましたが、その反動が想像以上に厳しかったということです」(斉藤様)

業務相互関連図

そうしたユーザーの声一つひとつに対応し、スピーディーにカスタマイズを加えていける点がGeneXus活用のメリットでもありますが、今後のメンテナンスも考慮し、まずは使用頻度が高く、標準仕様では日常業務に差し障りがあると思われるものからカスタマイズを加えて対応しました。

サービスインしてから1年が経過すると、操作の慣れもあってか、使い勝手に関する問い合わせはほぼなくなりました。しかし、その間の修正項目は細かなものも含めると1,000件以上に上り、ほぼ毎日リリースしている状態だったと言います。こうした対応が可能だったのも、GeneXusだからこそです。その後もお客様の要望に合わせシステム開発を継続し、今後も、業務内容にほぼ変更がないと思われるようになった部分から順に、操作性を考慮したカスタマイズを加えていきます。

新システム導入により、教育サービス業界の基幹業務である、生徒情報の管理、授業や模擬試験の運営などを一元化したことは、サービスの品質向上と、業務効率化につながっているようです。「企業としての全体最適と現場の個別最適のギャップをなるべく埋めたいと考えてはいますが、運用面や業務プロセスの改善も視野に入れなければ、せっかくの新システムのメリットを十分に生かすことはできないということを説明し、理解を得ていこうと考えています」(斉藤様)

システムは発展途上 今後もさらなる提案を

プロジェクトルームは現在も市進HD様の社内に設置されていますが、当社からの常駐スタッフは、ピーク時の約3分の1の人数とかなり少なくなりました。社内の専属スタッフも3名置き、細かな修正などに関しては内製化を進めるという体制に移行しつつあります。こうした運用面の内製化が可能なのも、GeneXus活用の大きなメリットととらえています。

当社に対して、「あらゆる面で100点」と高く評価してくださった斉藤様は、「GeneXusの開発経験が浅い内製化担当の社員だけでは対応が難しい機能改善部分の対応だけでなく、さらに内製化担当のスキルアップのために、教育面でも協力いただきたい」と希望されています。

また、今林様からは「システムはまだ出来上がったとは思っていません。今後GeneXusを使って、会社に有益などんなことができるのか追求していくに当たって、御社からさまざまな提案をいただきたいと思っています」と期待の言葉をいただきました。既に、タブレット端末などのスマートデバイスとの連携によって、より使いやすいインターフェースを提供できないかなど、新たな試みに向かっての検証も徐々に始まっているとのことです。

当社では、市進HD様にとって、さらなる顧客管理整備、サービス品質向上、社内処理のスピード化をもたらすべく、今後も全力を挙げて協力していきます。

お客様のご協力によりGeneXusの特色を最大限に生かした開発が可能に

当プロジェクトは、当社内で試行錯誤してノウハウを整備してきた「GeneXusの開発方法論」を実践できる場でもあり、何としても成功させるという強い気持ちで取り組みました。教育関連企業ということで、開発中の要件変更も多いのではないかと想定してGeneXusを活用した開発を提案しましたが、そのメリットは十分に生かせたと思います。

プロジェクトを進めるに当たって最も意識したのは、決められたスケジュール、コストの中で、お客様が本当に求めているものを優先順位をつけて考え、採り入れるものと、将来的に対応すべきものを判断するということでした。どちらかと言えば、操作面に関して我慢していただく部分が多かったのですが、プロジェクトがスムーズに進んだのは、お客様のご協力によるところが大きかったと感謝しています。

教育分野のお客様の案件は初めて経験しましたが、市進HD様の向こうには一般のお客様がいることを意識する必要がありました。きめ細やかなサービスを提供されている市進HD様だけに、想像以上に考慮すべき範囲が広く、動きも複雑でした。プロジェクトが進行するにつれ、業務知識も増え、大変勉強になりました。
今後は、市進HD様のビジネスの発展に合わせて、システムも成長させていきたいと考えています。

システムグループ プラットフォームアセンブルユニット 福嶋 進太郎

※掲載内容は2013年7月時点のものです

事例一覧へ