日本ハウズイング株式会社様

 

新基幹業務システム構築プロジェクト


アプリケーション自動生成ツール「GeneXus」を活用し
基幹業務システムを刷新

プロフィール

設立:1966年(創業:1958年)
資本金:24億9,290万円
本社所在地:東京都新宿区
事業内容:マンション管理事業、ビル管理事業、不動産管理事業、営繕工事業
http://www.housing.co.jp/

「生活を幅広くサポートする『住生活総合サービス業』」を標榜する日本ハウズイング様は、今年で創業55年。マンション管理を主軸に、ビル管理や不動産管理、営繕工事の領域で事業を展開し、管理する分譲マンション戸数は38万4,259戸(2012年9月末現在)と、国内首位の実績を誇ります。業務システムが老朽化し、質・量ともに現状の業務への対応が難しくなったことから、既存の6つのシステムを統合し、新基幹業務システム「ハウネット(Hou-Net)」の構築に着手。当社は、アプリケーション自動生成ツール「GeneXus」を活用したシステムの導入支援を行いました。

既存システムの老朽化により新システム構築は待ったなし

「今回の基幹業務システム構築に当たっては、何度も軌道修正を迫られ、その都度体制を大きく見直しながら推進しました」そう語るのは、プロジェクトでリーダーとして采配を振るわれた執行役員 システム企画部長の浅野尚様です。従来のシステムは2004年に完成したもので、40万戸のマンション管理まで対応する設計になっていました。しかし、2009年に管理戸数はすでに30万戸を突破し、今後の稼働に不安を感じられていました。

システム企画部システム開発グループ長の稲毛敬久様は、「まさにギリギリの状況。日常のメンテナンスに加えて、ハードウエアの増設などで何とかしのいでいる状態でした」と振り返ります。

同グループ課長の佐野広幸様も、「システムユーザー数はすでに最大値。月初などの繁忙期には一部の帳票を、わざわざ休日に出力してもらうなど、運用面での制約もかけていました」と語ります。

容量の不足だけでなく、個々に開発されたシステムはデータの共有が難しく、システム間の連携で障害が発生するリスクも増えていました。また、セキュリティの強化、内部統制への対応という時代の要請もあり、2009年2月、部署ごとに構築・運用していた4つの販売管理システムと2つの業務支援システムを統合する新基幹システム構築プロジェクトがスタート。従来より取引があったベンダーを起用し、同年11月には要件定義に至りました。

ハウネットのシステム概念図


ベンダー変更を決断

ところが、10カ月かけて出来上がった要件定義書は、システムの全体像が詳細に明確となるには至らず、このまま修正しながら進むか、それとも仕切り直すかという難しい選択を迫られました。

2011年10月完成というゴールは、現状を考慮すれば必須要件であるため、2009年12月、浅野様はベンダー変更を決断。5社によるコンペの結果、2010年2月、当社が新ベンダーとして選定され、プロジェクトは再始動しました。当社からの提案は、既存の要件定義を極力生かし、不足分を「確認フェーズ」により埋めることで、一からのやり直しよりもスケジュールを圧縮。本稼働は若干延びるものの、一部を前倒しで先行リリースすることにより、業務への影響を最小化するというプランでした。

「スケジュール設定の信頼性、会社としての品質保証体制、そして何よりも他社を上回る熱意が大きな決め手となりました」と浅野様は当時を振り返ります。

 

GeneXusを使ったアジャイル開発を決断

しかし、当社による要件定義の再構成によりシステムの全体像が明らかになると、当初設定されていた開発ボリュームでは納まり切らないことが判明。これでは、最終ゴールも延びてしまいます。

そこで当社から、開発手法をアジャイル型に変更し、ツールとして「GeneXus」を活用するというリカバリープランを提示しました。GeneXusは、業務要件を入力することでシステムのコーディングを自動生成する開発ツールです。

提案を受けた浅野様は、「マジックのような話で当初は当惑した」と言います。しかし、自ら導入企業を何社も訪問し、コンサルタントにも相談してリサーチした結果、「これならいけそうだ」という手応えを感じ、GeneXusの活用を決断しました。

「基幹系システムの開発実績もあり、コーディングによるバグも最小化できることがわかりました。さらに開発期間も圧縮され、期限内に納まりそうだという目算も立ちました」(浅野様)

システム構築を細かなイテレーション(反復)というプロセスに分割し、それぞれ「要求検討」「システム生成」「要求確認」のサイクルを繰り返していくアジャイル型開発には、イテレーションごとにリリースされたプロトタイプの動作環境を確認しながら開発が進められるというメリットがあります。しかし短いプロセスを、スケジュールを順守して回していくには、開発チームの大きな意識改革が必要とされます。

その点について稲毛様は、「既存システムの一部に同様の開発作業を行ったものもあり、抵抗感はありませんでした。むしろ、単純なバグがなくなり、プロジェクトの“見える化”にもつながるので、メリットは大きいと感じました」と語ります。

GeneXusによるシステム開発がスタートすると同時に、日本ハウズイング様は当社と「ハウネットプロジェクト憲章」という方針を制定し、プロジェクトルームに掲げました。

(1)提示されたままの画面を許容する。
(2)課題は3日で決める。
(3)機能追加は認めない。

(1)は、システムを完成させることを最優先に考え、画面の見た目や使い勝手の要望は最小限にとどめるルールです。
(2)は、2週間に設定したイテレーションを実現するために、課題は極力その場で解決することを前提とし、持ち帰る場合でも3日を限度としたものです。
(3)は、プロジェクト再スタートまでに長期間かけて要件・機能を検討している以上、新たな追加要件は基本的に認めないこととしたものです。

システム開発においては相当に思い切った内容ですが、佐野様は「各業務部署とのやりとりにおいても、要求を言い出せばキリがありません。部門長などの出張なども考慮した上で『3日』という現実的なルールを設けたため、本当に重要なことを優先できるようになりました」と効果を説明します。

稲毛様も「業務の担当者も、使命感の表れで意見を出すうちに、期せずして業務要件を増やしてしまうこともある。しかし、この憲章によって、担当者もいい意味で割り切ることができたと思います」と語ります。

プロジェクトルームの設置によりコミュニケーションが活性化

もう一つ、プロジェクトの求心力を高めた仕組みがありました。それは開発チーム全員が結集できるプロジェクトルームです。

「御社から、当社のすぐ近くにプロジェクトルームを確保するという提案がありました。プロジェクトにおいては、お互いに顔を突き合わせて話さなければ伝わらないこともたくさんあります。アジャイル型の開発には、特に有効だったと思います」(稲毛様)。

浅野様も「当社の社長も頻繁に立ち寄っていました。トップがプロジェクトの現場に直接足を運ぶことは、モチベーションの高揚に大きく影響したでしょう」と語ります。

プロジェクト期間中には東日本大震災の影響もありましたが、2011年4月には、フロント業務機能を先行リリース。2011年12月から全体機能の業務トライアルを開始し、2012年3月末に本稼働を迎えました。

既存機能以外に承認ワークフローなどの新たな機能が追加されたことにより、管理戸数増加への対応以外にも効果が表れました。全社レベルで業務プロセスが標準化され、業務品質や生産性が向上したほか、案件管理から経理システムへの連携まで、ワンストップのオペレーションが実現しました。営業担当者にもリアルタイムで正確なデータが確認できるようになった点も大きなメリットです。また、セキュリティの強化、IT統制に依拠する仕組みも整備され、安心して業務を進められる環境が整いIT基盤が強固なものになりました。

当社に対しては、稲毛様から「SEの方々の能力が高く、若い人でも安心して任せられた」と評価の言葉をいただきました。

また、プロジェクトリーダーの浅野様は、「初めてのシステム統合により、立派な幹ができたという印象。今後はモバイル化対応など、当システムをベースとした発展を考えていますし、機能的にも販売管理だけでなく、経営分析など、お客様に還元ができる仕組みづくりを実現させていかなくてはなりません。業界全体を視野に入れた提案をお願いしたいと思います」と、今後に対する期待を語られました。

ハウネットの全体像


お客様との一体感ある開発体制が成功の原動力に

日本ハウズイング様のプロジェクトのように、大規模かつ時間的制約もある案件ではお客様の協力体制が不可欠です。今回、実際にシステムを利用するユーザーの方々にも多々ご協力いただき、一体感のある開発体制を実現できたことは成功要因の一つだったと感じています。

プロジェクトを進めるに当たり、想定通りにいかず試行錯誤する場面もありましたが、当社がこれまで蓄積したGeneXusのようなアジャイル型手法による開発実績やノウハウを活用し無事にサービスイン。さらに、他国の大規模案件と並び、日本ハウズイング様と共同で「GeneXus international Recognition Award」※を受賞するという嬉しい出来事もありました。

通常のシステム開発では、サービスインと同時に陳腐化が始まりますが、アジャイル開発はお客様のビジネスの成長・変化に合わせてタイムリーにシステムを追随させていくことが可能です。常に現状に即したシステムを維持するとともに、さまざまな提案、情報提供に注力し、お客様のビジネスに貢献していきたいと考えています。

技術本部 ミドルウェアユニット開発基盤部 藤掛 通博

※2012年10月、GeneXusの開発元であるアルテッチ社本社所在地 南米ウルグアイで開催された「GeneXus meeting」にて



※掲載内容は2013年4月時点のものです

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