Global Perspective

Innovation in the Digital Age

デジタルエンタープライズへの変貌

 

先行く消費者、追う企業

テクノロジーはこの30年間で目まぐるしく変化しました。一般に、テクノロジーにはピークがあるといわれます。 例えば10のテクノロジーが生まれても、最終的に定着するのはそのうちの一つか二つです。 しかし現在のデジタル変革においては、クラウド、モビリティ、ソーシャルメディア、ビッグデータ、アナリティクス、IoT、オムニチャネル、3Dプリントといったテクノロジーが、通常のピークを迎えることなく採用され続け、世界に新しい風を吹き込んでいます。

一昔前、「情報化時代」と呼ばれた時期においては、ビジネスの動きがテクノロジーの在り方を決定していました。 デジタル化によってビジネスの効率をいかに向上できるかが問われた時代です。 しかし、現代は「消費者時代」へと突入しています。 消費者の強いニーズが新しいテクノロジーを生む原動力となり、そのテクノロジーがビジネスを突き動かす時代です。 こうした消費者主導の時代において、常に情報とつながっている消費者は、企業に対して非常に高い期待を持っており、またその期待に企業が応えることを当たり前だと考えています。

さらに現代のビジネス環境は、製品のライフサイクルやタイム・ツー・マーケットの短縮などにより、その複雑さを加速度的に増しています。 例えば航空機を製造する場合、以前はほとんど全ての部品をアルミでつくっていましたが、現在アルミの占める割合はほんの数%で、アルミ以外の多くの素材や合成物が入れ代わり立ち代わり使われています。 小売業では、従来はサプライチェーンの効率化ばかりが重視されていましたが、現在は消費者のニーズを深く理解して商品を販売することが重要です。 企業は数百万のSKU(Stock Keeping Unit)を取り扱い、迅速な配送を実現するために数千の配送拠点を管理しているほか、複数のチャネルに対応し、高度なカスタマーエクスペリエンスの実現が求められています。 金融業に目を向けると、非常に多くの商品が用意される一方で、ミレニアル世代の銀行離れ、現金取引の減少、膨大な情報の漏えいリスクなどがあり、またフィンテックのような新しい技術領域にも対応しなければなりません。

ビジネスが複雑化するこの消費者時代に企業が対応するためには、段階的・部分的なテクノロジーの適用ではもはや不十分です。 なぜなら、企業がちょっとした進化を遂げている間にも、新しいテクノロジーによって消費者の期待が刻々と変化し、両者の間に新たなデジタルギャップが生じるからです。 では、こうしたギャップを克服するために、企業はどのような変革を行えばよいのでしょうか。

 

デジタルギャップを克服する3層のデジタルエンタープライズ

私たちタタコンサルタンシーサービシズ(TCS)は、企業がこのデジタルギャップを乗り越えるためには、製品・サービス、ビジネスモデル、サプライチェーンをも含むビジネス全体の構造を変革し、企業自らがデジタルエンタープライズ(図参照)化する必要があると考えています。

デジタルエンタープライズ化は「デジタルコア」「インテリジェント&ソーシャル・エンタープライズ」「エクスペリエンスファースト」という、三つの層で取り組んでいくことで実現できます。 エンタープライズの中核を成し、他の2層を構築する基盤となる「デジタルコア」では、レガシーシステムをデジタル化へ迅速に対応できるシステムに変えると同時に、DevOpsのような次世代型開発手法やクラウドファーストといった方針を取り込むことが重要です。 加えて、人材育成や企業風土などのソフトスキル面も早いサイクルで継続的に変化させていかなければなりません。 「デジタルコア」が実現すると、社内外のデータ全体がリアルタイムにつながり、データ主導のビジネスを展開できるようになります。 全体観のあるデータ分析結果に基づく経営判断が速やかにできるようになり、自動化などによる業務効率向上や、AIから得るインサイトを活用したよりきめ細かなサービスを実現できる「インテリジェント&ソーシャル」な企業へと変身できます。 さらに、そのインサイトに基づいて臨場感あふれるオーダーメードのサービスを提供することで、消費者に魅力的な体験を提供する、「エクスペリエンスファースト」な企業となれるでしょう。

では、実際にはどのようにデジタルエンタープライズ化すればよいのでしょうか。 ビジネスもシステムも動き続ける中、必ずしも全ての層を順序立てて構築できるとは限りません。 どこから着手すべきか、まずは消費者に近い部分で先に手掛けられるものがないかといった360度の視点を持ち、臆することなくデジタルエンタープライズへの道筋を描くことが、今後の勝負の分かれ目となります。 TCSは、技術面はもちろんのこと、それぞれの業界や市場に精通するデジタルパートナーとして、お客様とともにその未来図を描いていきます。

 

お客様のグローバル化とビジネス変革をもたらす

お客様にこのような変革をもたらすためには、私たちTCSもアジャイル化し、俊敏かつ柔軟な人材育成に取り組まなくてはなりません。 TCSは45カ国に37万人を超えるプロフェッショナルが、クラウド環境により専門分野のトレーニングをいつでもどこでも学ぶことができるよう、包括的なデジタルラーニングプラットフォームを用意しています。

日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ(日本TCS)では、お客様のビジネスゴールを達成するために、大規模プロジェクトを遂行できるプロジェクトマネージャーやアーキテクトを育成しています。 AIやIoTといったデジタル時代をリードする技術を備えた人材の育成をはじめとして、さまざまな教育プログラムを導入。 さらには、次世代を担うリーダーを育成するために、社員の欧米をはじめとする主要海外案件への派遣や海外研修の受講などに取り組み、世界で通用する技術力や経験を備えたITプロフェッショナルのさらなる育成・強化にも注力しています。 また、SAPイノベーションラボ東京や開設予定のIoTラボなどの展開により、AIやIoTを取り入れた最先端のソリューションを、概念実証などを通じて体感できる環境と体制を整えています。

ITサービス産業は大きな変革期を迎えています。 今後5年間で、全てのものは抜本的に変わっていくでしょう。 私たちは、グローバルに展開する最先端のIT技術やビジネスソリューション、そして各業界への深い理解を強みに、システム開発においてもアジャイルに取り組み、お客様のよりスピーディな事業展開とビジネス目標の達成に今後も貢献していきます。

 

タタコンサルタンシーサービシズ 代表取締役社長兼CEO
日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ 取締役会議長
ナタラジャン チャンドラセカラン(チャンドラ)

 

1987年にTCSに入社。2007年よりCOOを務めた後、2009年10月よりタタコンサルタンシーサービシズの代表取締役社長兼CEO。また、2016年10月にタタ・サンズの取締役に就任。
チャンドラのリーダーシップの下、TCSは2016年にロンドンのブランド評価・戦略コンサルタント会社であるBrand Finance社から、ITサービス分野において世界で最も急速に成長しているブランドの一つに認められる。
2015~2016年にダボスで開催された世界経済フォーラムでは、IT産業の議長を務めた。  

 

*掲載内容は2017年2月時点のものです。