IoT導入と活用、その成功のカギとは?

White Paper

IoT導入と活用、その成功のカギとは?

 

企業はIoT(モノのインターネット)を単なる技術検証に留めるのではなく、業務の効率化や価値の創出など事業に貢献できることに活用しようとしています。ただし、どのような場合でも課題は生じます。
例えば、多種多様なデバイスの混在、ネットワークの異種混合、市場を維持していくために新たなパートナーシップを構築していくことなどが挙げられます。

このホワイトペーパーでは、統合デバイス管理プラットフォームとサブスクリプション管理ソリューションを活用し、IoT ユーザーやプロバイダーがIoTに関する投資を最大限に引き出す方法。つまり、売上と利益を向上させて、大幅なリターンを達成する方法について説明します。

 

産業界に広がるさまざまな機会: IoT のポテンシャルを探る

IoT は、データへのアクセス、顧客とのつながり、企業のさまざまなコンポーネントを結び付ける新たな方法を提供し、あらゆる産業に旋風を巻き起こしています。その用途は、家電製品が IoT エンドポイントとなる消費者向けのスマートホームから、サプライチェーンマネジメントやロジスティクス向けのエンタープライズグレードの IoT ネットワークまで多岐にわたります。IoTが普及し、あらゆる分野に大きな可能性をもたらしていますが、実現に向けたロードマップはまだ明確ではありません。理論上のメリットは豊富ですが、現場で実行するには課題が山積みです。

IoT とデータ分析ソリューションを組み合わせることで、企業は保有する資産のパフォーマンスに関する隠れたインサイトを引き出すことができます。将来の需要を正確に予測し、デジタル資産と物理的資産の両方のダウンタイムを短縮しながら、企業は不要なコストを削減できるのです。

こうした利点があるにもかかわらず、60%のユーザーは投資を回収するのに適したIoT テクノロジーを見つけることが難しいと感じています。この不安は初期導入時だけでなく、長期的な視野での取組みや収益化する方法にまで及んでいます。
IoT 導入の過程で企業が直面する主な課題について詳しく述べていきます。

 

IoTシステム導入時のハードル

 IoT の導入は大きく2つの側面で貢献できると考えられます。まず1つ目は、業務効率化とコスト最適化が可能な領域を特定することで、収益の成長を促進できることです。例えば、病院で病床の使用率を監視し空きスペースを特定すること、製造業では設備の故障の予測、運送業ではRFIDタグを車両に取り付けて車両の入退場管理などです。こうした業務の効率化により、大きなコスト削減につながる可能性があります。

いくつかの業界では既に多数のアプリケーションを検討していますが、これらのアプリケーションが日常的なタスクに限定されていることを考えると、ROIの測定は最大の課題です。さらに、利益を出すには、長期間を要する可能性があるため、導入し、その後継続的に実行できるかどうかは不透明です。

1つ目の側面では、以下のようなハードルが想定されます。

  • エンドユーザーの付加価値を特定し、それを効果的に宣伝しマーケティングすることで、顧客の支持をえること
  • 異種デバイス、フォームファクター、エネルギー要件、そして複数の通信プロトコルの管理
  • 現在のオペレーションと将来の戦略を最適化できる適切なインサイトの取得
  • 最新の法令に則ったデータセキュリティとユーザープライバシーの確保

 

2つ目の側面は、IoTは従来のデジタルエコシステムでは不可能だった市場に適した新しいサービスの導入を支援できることです。あらゆるデジタル企業がIoT のバリューチェーンのオーケストレーターとなり、利益を得ることができるようになります。1つ目の側面が企業の効率性に焦点をあてた内向きのものであるとすれば、2つ目の側面では、企業は新たな時代の顧客体験を提供出来るようになります。IoT 製品は、スマートな機能を備えたドアベルやコネクテッドトイから、物流用ドローンやスマートシティ全体に至るまでさまざまなものが考えられます。

2つ目の側面では、2つのハードルが想定されます。

  1. パートナーやベンダーとの連携が難しいこと
    (テクノロジー企業、ファームウェア開発企業、ネットワークプロバイダーなど)
  2. 適切なフレームワークの欠如とサブスクリプションサービスの管理

 

これらの課題を克服するために、2つの側面において一連のキードライバーが企業には必要です。これにより、常に売り上げのマージンを増やしながら、利益を維持することができるのです。

 

業務効率化における IoT の活用

業界横断的な IoT のユースケースには、スマートビルディング、エネルギー管理、在庫管理、インテリジェントなサプライチェーン、リモートアセットガバナンスなどがあります。しかし、IoTのデバイスやセンサーが常にデータを収集しているにもかかわらず、しっかりとしたテクノロジーのバックボーンがないと、アウトプットを最大化することはできません。必要なインサイトを把握して、関連する分析モデルを特定しなければ、プラスの結果を得ることはできないのです。

つまり企業は、IoT がユーザーやビジネスに与える影響を理解し、必要なインフラストラクチャがどのようなものなのかを示す必要があります。このビジョンが明確に定義されると、次のことができるプラットフォームが必要だとわかります。

  • 異種デバイスとプロトコルの整合と適切な管理
  • センサーや測定器といったノードとインシデント管理やワークフォース管理ツールなどとの統合
  • 接続されているすべてのデバイスとネットワーク設定の一元化
  • 遠隔保守とデータのバックアップやリストア
  • 大量のデータを確実かつ安全に伝送
  • IoTデバイスの継続的な監視、データをリアルタイムでダッシュボードへ反映

 

工場の省資源化のために開発されたIoTソリューションは、水栓、エネルギー源、ゴミ箱、電化製品、機械など、複数のタッチポイントと連動する必要があります。これらを遠隔で管理し、消費量や故障などに関するアラートを出すことで、真の「スマートファクトリー」を構築することができるのです。ただしこれは、さまざまなネットワークプロトコルや分析レイヤーにまたがるデバイスを管理し、同時に外部インフラと連携可能な技術がカギとなります。

図1は、業務効率化を目的とした複雑な IoT 環境の実装に必要なケイパビリティを示しています。

図 1: 業務の効率化に必要なケイパビリティ

 

こうしたデバイス管理プラットフォームを使用すると、次のような成果が得られます。

  • シームレスなデバイス間連携、容易なデバイス管理
  • 膨大なデータフローの統合と標準化
  • 情報ソースの一元化による分析力の強化
  • 意思決定を支援するためのダッシュボードの活用、レポート作成
  • スマートシティなどのユースケースに対応したハイレベルなコマンドセンターでIoTのオーケストレーションを促進

 

サービスの収益化におけるIoTの活用

ここ数年、as-a-serviceモデルはソフトウェアの利用方法を完全に変え、現在ではビッグデータ(Big Data-as-a-service)やインフラ(Infrastructure-as-a-service)といった他の分野にも浸透しつつあります。IoTの導入が、柔軟なサブスクリプションベースのモデルを通じて行われるようになるのも時間の問題です。業界横断的なユーザーだけでなく、特定のドメインや業界をターゲットとしたIoT サービスを開始しようとしているベンダーがいます。顧客ごとにカスタマイズ可能なIoTサービス群を積極的に導入し、個々の顧客のニーズに合わせてカスタマイズすることができる企業は、間違いなく市場優位性をもつことができます。そのためには、以下のようなソリューションが必要です。

  • サービスのアクティベーション、アシュアランス、稼働測定に関するサブスクリプション管理
  • 市場投入までの時間を短縮するアクセラレーター
  • 販売、オンボーディング、サービスのアクティベーションに関するサポート
  • 独自の収益管理手法を活用しIoT製品に特化した収益モデル
  • テクノロジーとITサービスのアライアンスが簡単に実現できるパートナー管理機能
  • 検出、起動、設定、診断の機能を備えたデバイス管理の自動化
  • IoTサービスのクロスセルやアップセル

 

トラック&トレース、ルート最適化、ジオフェンシング、安全アラート、乗客の過負荷警告などの IoT サービスは、収益を得るための車両管理サービスのカタログとして提供することが可能です。車両管理カタログは、保険料のプランとドライバーの行動を結びつけたデータベースに統合することもできます。パートナーの製品やサービスは、自社の中核的なオファリングとパッケージングすることも考えるべきです。
これを実現するためには、デバイス管理とサポート業務、そして統一されたサブスクリプション管理のプラットフォームが必要です(図2参照)。

 

プラットフォーム ベースのマネージドサービスソリューションニーズに応じたモジュラー機能

図 2: プラットフォームベースのマネージドサービスソリューション

 

図 2 に示す統合ソリューションにより、企業は次のような成果をあげられます。

  • エンドツーエンドのエコシステムを活用して、市場参入の迅速化
  • コネクティビティプロバイダーの位置づけから「システムオーケストレーター」への転換
  • データトラフィックから加入率と収益を向上

 

成功のカギを握るのは「基礎力」の強化

進歩への道は、煩雑さと同時にマイルストーンが明確に示されています。
現在のIoTをうまく活用することで、企業は大きな業務改善の効果が期待できます。さらに、これらのサービスは収益化することができます。特筆すべきは、ここで発生する課題は、IoTの技術力の強化ではなく、基盤となるデジタル能力を強化することで解決できるということです。

つまり、成功の鍵は、デバイス管理の改善、幅広いパートナーネットワークとの統合事業、as-a-service時代に適した収益モデルまたはサブスクリプションモデルなのです。

そして、採用すべきソリューションは、業界にとらわれず(幅広いエンドユーザーに対応)、迅速に拡張できることが求められます。IoTが進化し、業界やセクターを問わない技術のバックボーンとして不可欠な存在になるにつれ、プロバイダーが差別化された市場ポジションを固持し長期的に競合他社より優位性をもつためには、この点が非常に重要です。


著者について

 

スリニバサン ダクシナムルティ (Srinivasan Dhakashinamurthy)

スリニバサン ダクシナムルティは、TCS の Communications, Media, and Information Services (CMI) ビジネス ユニットのシニアドメインコンサルタントです。

IT および通信分野で 21 年以上の経験があり、TCS HOBS™ のカスタマーエンゲージメントを統括しています。スリニバサンは、世界中の通信サービスプロバイダー向けに複数のビジネス変革プログラムを実行してきました。彼の専門知識は、ビジネスおよび IT ソリューションの戦略、プランニング、実行に活かされ、TCS の顧客のトランスフォーメーションジャーニーを支援しています。

シュルーティ タンガラジ (Shruthi Thangaraj)
シュルーティ タンガラジは、TCS の Communications, Media, and Information Services (CMI) ビジネス ユニットのアナリストです。IT および通信分野で 10 年以上の経験があり、現在は HOBS™ で製品管理とマーケティングを担当しています。タンガラジは、複数の地域にまたがるさまざまな通信企業顧客と協力し、L2O プロセスの定義と製品のイノベーションにおいて極めて重要な役割を果たしました。アンナ大学 (インド、チェンナイ) でコンピューター サイエンスおよびエンジニアリングの学士号を取得しています。

監訳者 草柳 弘一
草柳 弘一は日本TCSのCommunications, Media, and Information Services (CMI) ビジネスユニットの本部長です。ITおよび通信業界で25年以上の経験を持ち、CMI業界向けビジネスの営業活動をリードします。

※ 掲載内容は2022年6月時点のものです