イノベーションの港から

#2 デザイン思考とイノベーション

 

2回目となる本連載では、イノベーションを生み出す港であるTCS Pace Portの Tokyo Headの滝沢がモデレーターとなり、TCSのサービスデザインリード、イノベーション・チャンピオンと一緒に「かたり」ます。TCSがどのようにイノベーションを生み出すのか、Pace Port、デザイン思考、アジャイルイノベーションセンターモデルという3つの鍵となるコンポーネントを解説しながらお届けします。

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イノベーション創出へのマインドセット

滝沢:今回はTCSの精鋭"イノベーション・チャンピオン"のKurianさん製品やサービスにおけるユーザー体験をホリスティック(全体的な)視点で統合的に創出し、デザインする”サービスデザインリード”の旭さんをお迎えして、イノベーション創出というテーマで「かたって」いきたいと思います。早速ですが、お二人は日本とグローバルの案件でデザイン思考を取り入れたユーザー視点のサービス開発に注力されていますが、グローバルと比較すると日本における課題はどんなところにあると感じていますか?

Kurian:日本において、デザイン思考は多くの企業様がビジネスに取り入れたり検討されたりしていますが、自分たちのデザイン思考の実践が正しいのか悩んだり、結果が出ずに苦しんだりされているケースが多いようです。その状況を生んでいる一つの要因が、日本企業特有の「守りの姿勢」や「失敗=悪」と捉える企業カルチャーやマインドセットです。デザイン思考では、初期の段階で、創造性やアイデアを限りなく拡げ、思考を拡散させます。守りの姿勢があると、臆病になって、自分で自分の可能性に壁を作ってしまい、なかなか思考を拡げられません。また、後半の段階では素早く試作を作って検証し、失敗から学ぶのですが、失敗を恐れるがあまり、試作に多大な時間をかけて失敗しないようにします。「守りの姿勢」「失敗を恐れる」というマインドセットこそがデザイン思考の実践を阻む課題の一つです。

滝沢:マインドセットという観点では、Pace Port にお迎えする様々なお客様の中には、課題がはっきりとはしていないものの、デザイン思考を取り入れて解決していくという事に対し必要性を感じられていないケースが度々あります。新しい事に挑戦せずとも、これまでの延長線上でビジネスを維持できるという発想をお持ちの方は一定数いらっしゃると思いますが、デザイン思考をビジネスに取り入れる必要性をもう一度整理してみたいと思います。

デザイン思考の役割



旭:まずは、「デザイン思考」について焦点を当ててみます。デザイン思考は、サービスデザインで活用する方法論です。Kurianさん、滝沢さんのご指摘のとおり、日本の組織にとって、デザイン思考は新しい製品やサービスを設計するだけのものではないということを理解していただくことが非常に重要です。デザイン思考は、プロセスや手順、システム、さらにはブランド価値や顧客体験を向上させるために適用することができます。みなさんの身の回りのサービスやプロダクトなど、実は私たちの周りには数多くの実践例があります。デザイン思考は、これらの実践企業が製品に焦点を当てるのではなく、ユーザー/顧客体験に焦点を当てるようご支援します。なお、TCSとしては、デザイン思考が一度限りの活動ではなく、連続的であり協働することを基本姿勢とし、そして創造的であり、ステークホルダーを含めたユーザーに焦点を当てた活動であることを認識することも重要視しています。「共感」と「人間中心の体験」によって、デザイン主導型の組織に変化すらできるのです。

滝沢:Kurianさんは、“イノベーション・チャンピオン“としてイノベーション創出におけるデザイン思考の役割はどのようなところにあるとお考えですか?

Kurian:まず、日本TCSおよびすべてのお客様との関わりの中で、イノベーションの文化を醸成する役割は非常に重要だと認識しています。それは、お客様のニーズに共感し、創造的な思考やアイデアへの実験的な試みを促すことで、プロジェクトチームの能力を高めることにつながるからです。これらはすべてデザイン思考の重要な要素です。またイノベーション・チャンピオンは、アイデアソンやハッカソンのようなカスタマイズされたデザイン思考のアプローチをファシリテーションします。その目的はチームがデザイン思考を体験・活用するためであり、プロジェクトにおいてデザイン思考の原理を適応できるような環境づくりをしてきます。イノベーション・チャンピオンは、デザイン思考の伝道者として活動し、プロジェクトチームの創造的な旅路を促します。

旭:イノベーション・チャンピオンは、クリエイティブな思考やプロセスを誘発するカタリストであると言えますね。

滝沢:それでは、デザイン思考とPacePortという観点では如何でしょうか? お客様にはPace Portが提供する機能を活用し、デザイン思考を用いたワークショップを行っていますが、どういった部分で両者のシナジーをより出していけるとお考えでしょうか?

旭:サービスデザインチームは、Pace Portにいらしたお客様の課題がはっきりしていない場合、デザイン思考のアプローチで取り組むべき真の課題を浮き彫りにし、インサイトをあぶり出せるようにサポートをしています。また、明確になった課題へのソリューションを生み出すためのインスピレーションを与える場としても、Pace Portがその役割を最大限に発揮していますね。

滝沢:私も連携してワークショップを行っていく中で、Pace Portはサービスデザインの一部として機能すると実感しました。お客様の課題を深堀するところに加えて、迅速にプロトタイピングを行い実証していくという所でよりお客さまに価値を実感していただきたいです。

TCSのイノベーション・チャンピオンとは?



滝沢:Kurianさんは、”TCSイノベーション・チャンピオン“としてイノベーション創出、アジャイルイノベーションセンター(以下AIC)案件に携わることが多いですが、これまで具体的にどういった形でお客様をご支援されてきたのですか?

Kurian:まず、イノベーション・チャンピオンは、お客様と共にイノベーション創出、デジタルトランスフォーメーションを推進する人材を認定するTCSの社内資格で、幅広く自社の技術知見や事例を蓄積しているマイスターの役割を果たします。その活動の中で重要となるAICモデルは、顧客にイノベーションのいくつかの切り口をもたらすためのTCS独自の包括的なアプローチです。 TCSの人材プール、斬新なデジタルソリューションへ投資、パートナー、学術機関、スタートアップ企業から成るTCSのエコシステムの相乗効果を活用し、継続的かつアジャイルな方法で、規模に応じてお客様のイノベーションを推進します。 具体的にはAICを通じて、お客様に対してアイデアの創出や迅速な仮説の検証、エコシステムと連携した最小実用製品(Minimum Viable Product:以下MVP)/プロトタイプを開発するためのアジャイルイノベーションプラットフォームを提供しています。いくつかのプロジェクトは、異なるタイムスケールでインキュベートされ、段階的に実行される必要があるため、ビジネス目標をプロジェクトの流れに分解することで、お客様がポートフォリオアプローチをとることを可能にしています。アウトプットは、価値を証明するMVPであり、持続可能な利益を実現する大きな一歩を踏み出すための、顧客の信頼性を向上させます。顧客の信頼性を向上させます。

滝沢:我々が所属するビジネスイノベーション統括本部では、昨今お客様へイノベーション・チャンピオンがAIC案件をリードしていく中で、デザイン思考やラピッドプロトタイピング等のケイパビリティーをPace Portを経由して提供することが一つのサクセスファクターになりつつありますね。

Kurian:TCS Pace Port Tokyoは、”Art-of-the-possible(高い目標ではあるが実現可能なこと)"を可視化するためのInnovation Showcaseスペース、迅速なアイデアと文脈化のためのThink Space、パートナーであるイノベーションエコシステムとのコラボレーションと共同創造のためのCOIN Acceleratorスペース、実世界の状況を疑似的に再現するためのAgile Workspaceなど、先に説明したAICモデルの重要な要素となっています。AICモデルによって、TCSはお客様にInnovation-as-a-Serviceを提供できます。お客様は「気づき・イノベーションの発見(Discover)」、「アイデア創出・定義(Define) 」、「実証・洗練(Refine) 」、「開発・実装(Deliver) 」のイノベーションの4つのフェーズから、最もふさわしいイノベーションサービスを受けることができます。Pace Port Tokyoが提供するアジリティ、スピード、創造性、インパクト、スケーラビリティ、そしてプロジェクトチームがもたらすコンテクストに基づいた知識こそが、お客様が進めるイノベーションジャーニーの中でPace Port Tokyoとパートナーを組む理由、TCSのバリュープロポジションなのです。

Kurian:東京を含め、世界のTCS Pace Portは、創造的な思考と問題解決を促進する没入型の高エネルギーアプローチを提供し、お客様のニーズや組織的な問題点に対処することを目的としています。グローバルでは現在・未来のテクノロジーへの投資に対するリスクを最小限に抑え、より早く学習するための手段として、Pace Portに注目していただいています。Pace Portは、物理的、仮想的、ハイブリッドなチームコラボレーションを可能にするデジタルツールキットを提供し、実用的なインサイトを生成するためのコンポーネントを迅速に組み立てることができます。お客様がPoCとPoTを開発する際、Pace Portのセキュリティ環境と多様なテクノロジープラットフォーム、TCSソリューションアクセラレータを活用して、投資やスケールアップを行う前に検証・評価することができます。

イノベーションのはじめの一歩を、TCSと一緒に



滝沢:Pace Portはイノベーションを生み出す共創の場であり気軽にご利用頂きたいのですが、まだまだハードルが高く簡単な気持ちでは利用できないと思われてしまう事もあります。イノベーションという言葉自体に、自社のビジネスを根本から新しくしてしまうようなイメージを持たれている方も多いのかもしれないと感じています。

旭:そうかもしれませんね。ですが、イノベーションは、必ずしも破壊的である必要はないのです。イノベーションは、新たな生活価値や体験価値を創造することです。例えば、既存の製品でも販売方法を変え、新しいタッチポイントをつくることでユーザーにより大きな価値を与えることもイノベーションと言えます。新たな価値創造のためには、まずはユーザーの視点に立って、ユーザー目線で物事を捉える、没入してみることが大事です。

滝沢:いまでは新しいデジタル体験や物理的体験を創るとき、組織は意思決定の際に意図的にデザイナーを取り入れています。TCSもその先駆けです。デザイン思考が前例のない成功を生み出す要因は、人々の欲求と潜在的なニーズを満たすサービスを掘り起こすことと、製品を提供するうえでの「共感→アイディエーション→試作→テスト」により繰り返されるプロセスです。TCSではコンセプト設定からモノづくりまでをカバーしお客様をご支援させていただきます。明日のビジネスを一緒に作り出していきませんか?

 

▶今回のかたりす人(と)

 

Kurian Varughese

ビジネスイノベーション統括本部

Innovation Champion

 

旭 友香

ビジネスイノベーション統括本部

Service Design Lead

 

滝沢 幸子

ビジネスイノベーション統括本部

TCS Pace Port Tokyo Head


※掲載内容は、2020年11月27日公開時点の情報です。(AM)

 

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