企業のデジタル活用に伴い、扱うデータ量が急激に増えました。まさに情報の洪水とも言える状況です。営業部門や事業部門がデータを適切に管理し、有効活用するためには、構造化されたデータのマイニングとスマートインサイトが有効です。スマートインサイトとは、高度なデジタル技術を活用したデータの分析や活用を指します。新しい時代に、次のような役割を担うセールスインテリジェンスプラットフォームを採用し、営業プロセスを見直しましょう。
変化の激しい市場環境では、データの関連性を捉えることが難しく、COVID-19のパンデミックは状況をさらに悪化させました。営業部門では、顧客企業へのアプローチや、打合せ、変化する状況に対応する為、これまで以上に、データから得られるインサイトを必要としています。しかし、情報があふれて管理できていない状況では、適切な提案や顧客との対話に必要な情報を得るために多大な労力がかかってしまいます。
そこで、構造化されたデータのマイニングとスマートインサイトが注目されています。情報を整理することでノイズを減らし、営業部門や事業部門に明確な展望を与えることができるのです。デジタル技術を活用すれば、企業は営業活動の範囲を広げ、個々の営業サイクルを短縮できます。これにより、顧客とより密接な関係を築き、より良い体験を提供し、成約率を高めることも期待できます。このホワイトペーパーでは、自動化されたセールスインテリジェンスのフレームワークが、どのように企業の目標達成をサポートするかを紹介します。
セールスインテリジェンスの技術を活用することで、ターゲットとなる顧客のニーズの変化やステークホルダーや業界の動向を深く理解することができ、営業活動に必要なインサイトを得ることができます。また潜在的な収益機会を浮き彫りにし、最適な営業活動を可能にします。
営業部門は、セールスインテリジェンスによって新規契約を進めながらも、既存の営業パイプラインを深く掘り下げて問題の要因を分析し、パイプライン全体を改善することができます。このような営業変革には、アプリケーション全体の顧客データ、ナレッジベース、および二次ドメインで利用可能な情報を統合することが必要です。これにより、営業部門は次のことを達成できるようになります。
企業が 不確実性の高い新時代に成長、変革して前進しようとするには、インテリジェンスフレームワークを構築して営業プロセスを再検討する必要があります。このフレームワークは、営業プロセスのさまざまな段階において実用的なインサイトを得るため、「組織」、「ステークホルダー」、「機会」、「セールスファネル」という4象限で構成されています(図1)。このフレームワークによって、データ利用の混乱をなくし、より迅速にニーズに沿ったインサイトを得ることができます。
4象限を構成する要素は、以下のとおりです。
パンデミックのように急速に変化が訪れると、顧客像も変化します。この象限では、構造構造、企業の財務、組織の注力分野の変化、戦略的投資計画などを追跡する側面を示しています。
適切な価格で適切な資産を手に入れたいと考える組織は、パンデミックをM&Aの機会として活用するでしょう。パンデミックの最中の企業統合は、人的資源の再編を推進し、役割、プロセス、機会、チャネルに変化をもたらします。これらの変化に対し、信頼できるインサイトとインテリジェンスにアクセスできる企業は、最適なアクションを打つことができ、より早く収益につながる顧客関係を構築できます。
組織にとって必須の重要業績評価指標(KPI)には、次のようなものがあります。
次世代のセールスインテリジェンスプラットフォームは、ステークホルダーとその役割や影響力の変化を詳細に把握し、新しい役職や部門に異動したキーパーソンに効率的にアプローチできるようにするための機能を備えている必要があります。
高度なテキスト分析とビッグデータ処理アルゴリズムを備えたデータハブ全体で、構造化および非構造化データを解析できるモジュールは、営業活動においてハイエンドの研究部門として機能します。LinkedInなどの公開ソースからステークホルダーの経験、権限レベル、人脈を把握し、他の社内システムのデータと統合することで、セールスインテリジェンスプラットフォームをよりスマートにできます。
有効なデータソースには学習管理システム(LMS)、顧客関係管理プラットフォーム(CRM)、過去の取引履歴、会議の議事録、チャットでの会話、プレスリリース、お客さまの声などがあります。これらのデータを統合することで、重要な意思決定者にアプローチするための情報を得ることができるのです。
顧客 の財務状況や投資戦略を把握することで、さまざまな取り組みへの傾倒を捉え、新たなアプローチの機会を生み出すことができます。さらに、過去の提案依頼書(RFP)、情報提供依頼書(RFI)、契約書などから情報を収集することで、営業部門は、最も注力すべき潜在的なビジネス機会を発見できます。
この象限では、顧客が組織全体で購買しているサービス/製品、短期的な興味/優先事項、生存戦略、予測されるビジネスチャンスを自動的に示すことができます。組織、ステークホルダーの象限で収集したデータを連携し、社内システムから構造化/非構造化データをマイニングすることで実現します。
営業プロセスを表したセールスファネルを注意深く観察・改善することで、大きな成果をもたらすことができます。顧客の重要な意思決定者へのアプローチを妨げているポイントなど、障壁を特定、解消することでセールスファネルを強化します。セールスインテリジェンスフレームワークは、これらの障壁に関する貴重な洞察を提供し、コンバージョン率の向上につなげることができます。
見込み客のスコアリングによって適切なアプローチ先を見出すこともできます。顧客満足度、顧客の感情、ネットプロモータースコアをデータ分析技術と組み合わせれば、顧客との関係悪化を早期に発見・警告する仕組みも構築できるでしょう。
パンデミックによって多くの企業が脆弱化しビジネス環境の変化が激しくなりました。新しい時代において、早期に優位を確立するためには、デジタル技術を活用した自動化が不可欠となります。B2B顧客をターゲットとした市場調査においても自動化のアプローチが有効です。他社に先駆けて前進していくことは重要ですので、セールスインテリジェンスの導入が求められているのです。変化に応じた学習をしていくことで、早期に成功を収めるアドバンテージを得ることができるはずです。
セールスインテリジェンスフレームワークによって、営業活動に必要な資源と推進力を得ることができます。現在のビジネス環境では、クラウドを活用してセールスインテリジェンスプラットフォームを開発・提供することが推奨されます。クラウド事業者が提供する各種モジュールによって、迅速にインサイトを得られるようになるからです。CRMやERPなどの企業データソースは、ほとんどがクラウド上で構築できるため、これらのデータソースとの統合も容易になります。
クラウド活用は、現代の営業部門にとって、目的志向で適応性が高く、回復力のあるセールスインテリジェンスシステムの構築に最適であると言えます。ここで紹介したフレームワークやベストプラクティスは、企業の営業変革の取り組みを支援し、価値を生み出すために役立つでしょう。
ビジネス環境の変化が激しさを増す中、多くの企業が変革にかじを切っており、環境の変化に柔軟に適応する組織を実現するためには、デジタル技術の活用が欠かせません。
特に営業組織においては、過去の取引や契約情報、新しくアプローチする企業、ステークホルダーの役割や影響力など、刻々と変化する状況に連動した情報活用が求められます。必要な情報を適時、適切に活用できるシステムが重要であり、営業プロセスへのデジタル導入によるデータ管理、分析、活用のニーズは、これまで以上に高まっています。
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