AIは恐れるものではなく、ワクワクする気持ちで活用するのが正解
東京大学 池谷 裕二 氏 | 経済キャスター 江連 裕子 氏(モデレーター)
TCS Summit Japan 2024レポート / Guest speech
東京大学 池谷 裕二 氏 | 経済キャスター 江連 裕子 氏(モデレーター)
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東京大学で薬理学を専門とする池谷 裕二 教授のセッションでは、「脳とAIが融合する未来」をテーマに議論が展開されました。池谷氏は薬学部で脳とAIの研究を行っています。その背景について「脳は病気にかかることもあるため、薬の開発が重要であり、その一環として脳の情報を管理し、神経科学への応用を目指したAIの研究を進めています」と述べました。
2018年からはERATO脳AI融合プロジェクトの代表を務めており、AIチップを脳に移植するなど新たな知能の開拓を目指しています。たとえば、ネズミの脳にAIを接続して、英語とスペイン語の区別をする実験では、AIの支援によってネズミが言語の区別ができるようになったといいます。このような技術を応用し、体の不自由な方でも脳からの信号をもとに機械を動かせる「ブレインマシンインターフェイス(BMI)」の実現を目指しています。「脳とAIの融合研究はまだ発展途上ですが、アメリカのFDA(食品医薬品局)が既に承認した技術も存在し、応用の可能性が広がっている」と池谷氏は語ります。
さらに、AIの進化がもたらす変化について、池谷氏は偏見や恐怖心を取り除くことの重要性を強調しました。「AIは人間の仕事を奪うのではなく、効率化や新しい価値創造を助けるツールとして活用されるべきです。AIは人間が気づきにくい配慮を補うことで、多様な課題への対応力を高める可能性を秘めています」と述べました。そして最後に「私自身、AIを楽しく使っていますし、この楽しさをぜひ皆さんにも味わっていただきたいと思います。AIと向き合う際には、ワクワクする気持ちを大切にしながら学び続けることが重要です。こうした姿勢こそがAIの正しい使い方であり、社会貢献にもつながると考えています」とコメントしました。
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