TCSが外部機関に調査・制作を委託した最新レポートでは、CMO(最高マーケティング責任者)とCIO(最高情報責任者)の協業を成功に導くための課題と解決策を明らかにしています。
近年の調査から、顧客・従業員・地域社会・資本市場といったすべてのステークホルダーに価値を提供することを掲げている企業は、他社よりも高い成果を上げている傾向が明らかになっています。
こうした価値創出を支える鍵の一つが、マーケティング・テクノロジー(MarTech)の進化です。そしてAIの登場により、その意義はさらに重要なものになっています。
Martechの進化を背景に、“ マーケティングとIT部門が連携すること=CMOとCIOのパートナーシップ”は、企業の競争力強化において、ますます重要な位置を占めるようになっており、今や経営層の最優先アジェンダの一つになっています。
本レポート「CMOとCIOのパートナーシップがともに導く、未来への可能性」では、両者の連携を成功させるには、意図的かつ計画的な取り組みが不可欠であると強調しています。
その際、企業が短期的な株主利益だけではなく、長期的な視点で「Humanized Growth(人間味ある成長)」を実現することが重要です。本レポートでは、Humanized Growthを実現するための5つの原動力を軸に、マーケティングとテクノロジーの融合を加速させる実践的なアプローチを提示しています。
多くの経営者は、もはや株主価値の最大化だけでは企業の持続的成長が難しいことを認識しています。
IRGの調査によると、競合他社よりも高い売上成長をしている企業の90%が、ステークホルダーに価値を創出する戦略を採用していることが明らかになっています。
しかし、そうした企業であっても、マーケティングとテクノロジーの責任者が密接に連携しているケースは、まだ限られています。
優れた顧客体験やイノベーションの実現は、マーケティングとテクノロジー の連携なしには実現できません。AIや生成AI(GenAI)の急速な普及によってMarTechの導入が進む中、多くのCMOは、AIを「限られたリソースで最大の成果を上げるための鍵」と捉えています。しかし、コスト削減のプレッシャーと、加速するデジタル化のニーズとの間で板挟みになっているのが実情です。
CMOとCIOの連携は、単なるDX(デジタルトランスフォーメーション)にとどまりません。マーケティングとテクノロジー が融合することで、企業全体の価値創造を促進する存在となり得るのです。
CMOとCIOの連携には多くの可能性がある一方で、次のような課題が障壁となっています。
IRGの調査によると、サイロ化の解消などさまざまな戦略で競合を上回る企業は、過去3年間において売上高の成長においても優れた実績を示しています。
こうした企業は、現在や過去を把握・分析する「インサイト」以上に、未来を予測する「フォーサイト」に約2倍の投資を行っていることが明らかになっています。
また、そうした企業は、イノベーション、変化、起業家精神といった変革を促す企業文化の醸成においても、業績が振るわない企業より優れている傾向があります。
成功するCMOとCIOの連携には、明確なビジョンの共有と強固な信頼関係を築くことが欠かせません。完全な正解はないものの、本レポートでは、Humanized Growthの5つの原動力が重要であると結論付けています:
1. Ground(基盤を整える)
2. Reimagine(未来を構想する)
3. Focus(本質を見極める)
4. Organize(組織を最適化する)
5. Unleash(可能性を解き放つ)
本レポートは、IRG(Institute for Real Growth)との協働で作成され、2024年4月〜6月にかけて実施された調査と、グローバル企業のマーケティング・IT部門リーダーへのインタビューを基にまとめられています。
本レポートの基盤となっているのは、以下の2点です。