Overview
.エネルギー・資源・ユーティリティ企業がAIの価値を最大限に引き出すには、生産性、イノベーション、業績向上を加速するための基盤を構築する、多層的なAI戦略が必要です。
AI戦略を推進するにあたっては、短期・中期・長期のそれぞれの視点から、段階的なアプローチを検討することが重要です。
AIの最新の進化は、エネルギー・資源・ユーティリティ業界の大きな変革をもたらす可能性があります
TCS AI for Business Study(ビジネスにおけるAI活用についての調査)によると、エネルギー・資源・ユーティリティ(公益事業)企業の経営層の半数以上が、AIが自社にもたらす潜在的な影響に期待を寄せています。特に、よりクリーンで環境負荷の少ない未来への移行を進める中で、その期待は高まっています。本レポートでは、こうした調査結果に加え、企業が全社的に有効なAI戦略を策定するために、どのような取り組みを進めているのかについて独自の知見を提供しています。また、以下のテーマを分析しています。
調査対象となったエネルギー・資源業界の経営層の多くが、AIに対して前向きな見方を示しています。
さらに、多くのエネルギー・資源企業およびユーティリティ企業が、AI活用に向けた準備を進めています。
一方で、AI活用戦略に関する共通認識はまだ十分に形成されておらず、その成果を測定するための指標も不足しています。
一方で、AIに対する期待と現実の間には依然として大きなギャップが存在します。
エネルギー・資源・ユーティリティ業界におけるAI活用の進展を阻む要因は何でしょうか?
AI、とりわけ大きな注目を集める生成AIに関しては、企業が取り組むべき5つの戦略課題が明らかになっています。
エネルギー・資源企業では、以下の課題が挙げられています。
ユーティリティ企業では、以下の課題が挙げられています。
AIの業務プロセスへの組み込みが進むなか、AI投資がもたらす財務的リターンへの関心はますます高まっています。しかし、現在のAI導入段階において、「十分な」評価指標やKPIを備えていると回答した企業は、エネルギー・資源企業でわずか20%、ユーティリティ企業で 21%にとどまっています。AIを活用した業務に対する適切なKPIがなければ、ROIを実証し、今後のAI投資に対する社内の支持を得ることは容易ではありません。
エネルギー・資源・ユーティリティ業界の経営層の多くは、AIが人の能力を補完し、さらに強化するものになると考えています。
AIの高度化が進み、日常的な業務の一部として定着するにつれて、職場における人の役割も変化していくでしょう。
エネルギー・資源企業の63%、ユーティリティ企業の68%は、人による戦略的意思決定と創造性が、今後も競争優位性の源泉であり続けると考えています。
エネルギー・資源企業の46%、ユーティリティ企業の47%は、今後3年以内に従業員の最大半数が生成AIを日常的に利用するようになると予測しています。
今後のAI活用では、イノベーション創出と収益成長が重要なテーマとなります。
調査対象企業のうち業績上位企業(Pacesetters)では、エネルギー・資源企業の82%、ユーティリティ企業の83%が、イノベーション創出を加速するための手段としてAI活用に注力しています。
.エネルギー・資源・ユーティリティ企業がAIの価値を最大限に引き出すには、生産性、イノベーション、業績向上を加速するための基盤を構築する、多層的なAI戦略が必要です。
AI戦略を推進するにあたっては、短期・中期・長期のそれぞれの視点から、段階的なアプローチを検討することが重要です。
中核市場と既存顧客に重点を置きながら、現在の事業モデルやケイパビリティの強化に注力します。
引き続き中核市場と既存顧客を重視しながらも、AIの自律性を活用し、大胆な新規事業モデルの実験や検証を進めます。または、これとは異なるアプローチとして、現在の事業モデルを維持しつつ、隣接市場への展開や新規顧客の獲得を目指す選択肢も考えられます。
長期的な視点では、将来の大きな成長機会や革新的なテーマに取り組むことができます。市場や顧客セグメントの拡大に加え、新たな事業モデルの創出に向けた試行や検証を進めることができます。
本グローバル調査は、TCSソートリーダーシップインスティテュートにより、 アジア、欧州、北欧、ラテンアメリカ、北米、英国およびアイルランドにわたり、12の産業分野で、年間売上高が50億ドルから1,000億ドルの企業の約1,272人の経営層を対象に匿名形式で実施されました。エネルギー・資源・ユーティリティ業界に関する調査結果は、エネルギー・資源企業90社およびユーティリティ企業95社から得られた回答に基づいています。
本調査では、経営層から事業責任者層までを対象に、自社のAI活用に向けた準備をどのように進めているかを調査しています。特に、業務オペレーション、人材、今後のAI活用計画に関する戦略に焦点を当てています。また、調査から得られた知見に基づき、ベストプラクティスも提言しています。