インドを代表するITサービス企業・タタコンサルタンシーサービシズ(TCS)。その日本法人である日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社(日本TCS)では、SAP事業のさらなる拡大に向け、コンサルタントやPMなどの専門人材を募集しています。TCSの豊富なグローバルリソースと、日本市場に最適化された柔軟な対応力を武器とするSAP事業の魅力とは──2名のリーダーがその核心を語ります。
──日本TCSにおけるSAP事業の概要や特徴についてお教えください。
日本TCSのSAP事業を統括しているエンタープライズソリューションユニット(ESU)は、約1,000名規模のデリバリー組織です。ローカル社員のみならず、インドからの出向者、ビジネスパートナー、オフショアメンバーなどで構成され、日本市場向けのサービス提供を行っています。
その特徴の一つが、日本企業向けのデリバリーに特化した「Japan-centric Delivery Center(JDC)」を設置している点です。インドのプネとチェンナイを拠点に、日本のビジネス習慣や日本語に対応できる人材を育成し、質の高いサービス提供を実現しています。
また、TCSはグローバル全体で約28,000名のSAP技術者を擁し、世界中でSAP関連サービスを展開しています。この規模の強みを生かし、日本市場でも柔軟かつ確実なデリバリーを実現しています。
──SAP事業を取り巻く昨今の市場環境と、それに対する貴社の強みをお聞かせください。
近年、SAP事業の環境はクラウド活用が標準となるなど急速に変化し、またビジネススピードの加速に伴うシステムの短納期導入への要求も高まっています。このニーズに応えるため、SAP標準機能を最大限生かす「クリーンコア」思想に基づき、従来のアドオン中心からBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)を含む業務改革や「Fit to Standard」導入へと転換を進めています。
この流れの中で当社のビジネスコンサルティングチームとの連携に加え、クラウド領域では、TCSグローバルのCoE(Center of Excellence)※と連携し、「SAP Business Technology Platform」の検証や技術者育成を推進しています。このグローバル連携こそ、当社の大きな強みです。日本企業のお客様が海外進出する際には、お客様の日本拠点・海外拠点、日本TCS・現地TCSが連携することで、一体となってシステム展開を支援できます。「グローバルの事例を共有してほしい」という要望も増えており、日本TCSの大きなアドバンテージとなっています。
※CoE…特定分野の専門知見と最新技術を活用して、社内外のプロジェクト支援や人材育成を担う戦略的な専門組織
真のグローバル環境のなかで、幅広いモジュールに対応できる専門人材へ
──貴社SAP事業は、今後どのような方向に進まれるのでしょうか。注力分野など展望をお聞かせください。
今後は「SAP S/4HANA」を核に、導入から運用支援まで包括的なソリューションの展開をさらに強化していきます。直近で注力するのは、2027年のサポート終了が迫る「SAP ERP」からSAP S/4HANAへの基盤の移行や新規導入の支援です。
その先は、SAP S/4HANAの活用度を最大化し、運用を飛躍的に効率化することを目指します。例えば、昨今注目を集めている生成AIやチャットボットを活用したDX推進をお客様に提供できる体制を目下整備しています。
さらには、TCSグローバルのCoEとも連携し、AIやチャットボットの海外の先進事例を日本市場向けにローカライズして積極展開するとともに、「SAP×AI」のスキルを持つ人材の育成にも一層注力していきます。
──TCSのSAPコンサルタントやPMについて、求める人物像を教えてください。
SAPコンサルタントやPMのポジションは経験者採用を基本としています。そのなかでも大規模案件の経験やチームリーダーとしてデリバリーを手掛けた経験のある方は、当社で早期にご活躍いただけるでしょう。他方、経験業界は問いません。また、「SAP ERP 6.0」のみ経験がある方でも、意欲があれば十分キャッチアップ可能です。SAPが進化し続ける技術であることを理解し、変化への柔軟性と探求心、特にAIなどの新技術への強い関心を持つ方にとって最適な環境だと思います。
当社のSAPプロジェクトは日本のお客様が中心で、英語力は必須ではありません。事実、英語は読み書きのみ、会話は自信がない、という社員も多く在籍しています。しかし、インドをはじめグローバルメンバーとの協働が多いため、多様性を尊重しながら、言語や文化の壁を越えて自身の意見を伝え、合意形成を図っていく力が求められます。
──今、貴社SAP事業に参画する意義、メリットは何でしょうか。
日本TCSのSAP事業では、大規模な案件参画、またニッチなモジュールや領域に挑戦できる機会が豊富にあります。グローバル連携を通じて、国内案件だけでは得がたい深い知識と広い視野を身につけることが可能で、キャリア入社したメンバーからも「真のグローバル環境で新たな発見と成長を実感できる」という声が寄せられています。
また、当社はプライムベンダーとして、システム導入の企画段階から保守・運用まで、エンドツーエンドでのサポートを行っています。SAPの導入プロジェクト全体に関わり、お客様と長期的な信頼関係を築きながら実績を積み上げていくことが可能です。
当社のSAP事業と組織は今、発展途上にあります。日系のシステムインテグレーターとはまた違う雰囲気のなかで、多言語かつ多様性のある環境に身を置き、高品質なシステムを提供していくことで、キャリアの可能性を大きく広げられると確信しています。
──仲岡さんは製造業・製薬業のSAPデリバリーを統括されているとのことですが、どのような取り組みをされているのでしょうか。
製造業や製薬業のお客様向けのSAPデリバリーは、経理・調達・販売といった基幹モジュールに加え、現場特有のニッチなモジュールまで対応できる幅広さが特徴です。
近年は、お客様から「グローバル展開を視野に入れたい」「プロジェクトを英語で進めたい」「インドの優秀なITリソースを取り入れたい」という声が寄せられることが多く、当社ならではの強みを発揮する場面が増えています。
近年は、お客様から「グローバル展開を視野に入れたい」「プロジェクトを英語で進めたい」「インドの優秀なITリソースを取り入れたい」という声が寄せられることが多く、当社ならではの強みを発揮する場面が増えています。
特に、豊富な開発リソースはお客様からも高く評価されています。国内SAP市場の人材不足が深刻化するなか、「日本TCSなら豊富なリソースがある」と信頼していただけるのは大きな強みといえます。システム導入には開発工数がかかりますが、インド側リソースの活用により、開発工数がかかるシステム導入もコストを抑えつつ柔軟に対応可能です。
──昨今のプロジェクトの事例についてお聞かせください。
海外でのSAP導入における成功事例を日本に展開する「ロールイン」のプロジェクトをご紹介します。製造業のお客様から「ヨーロッパで先行導入されたSAPテンプレートを日本に導入したい」と要望をいただいて始まったものであり、お客様側の日本およびヨーロッパ拠点、TCSの日本およびインド拠点のメンバーが関わり、4社体制で遂行しました。
お客様としては、同じ企業グループ内であってもヨーロッパの理解に課題がありました。そこでTCSの日本・インドのメンバーが英語で現地メンバーと仕様や機能を確認し、日本のお客様に向けて丁寧に説明する体制を構築しました。
導入した工場系のモジュールは、日本国内では専門人材が不足していましたが、TCSグローバルを見渡せば経験豊富な人材がいます。国内のリソースで言語面を補完しつつ、計画通りの本番稼働を実現し、お客様から高い評価をいただきました。
グローバルとの連携を通じ、柔軟な対応力とキャリアの広がりを実感
──仲岡さんご自身のキャリアについて伺います。日本TCSへの転職経緯や入社を決めた理由などについてお教えください。
私は国内メーカー企業のIT部門、外資系コンサルティングファームを経て、2021年に日本TCSへ入社しました。会計システムを中心に、連結決算システム保守運用、SAPでの月次決算システム構築や導入、財務業務の海外BPOセンターの立ち上げなどに従事してきました。
転職を意識し始めたのは約5年前、日本の経済環境が大きく変わり始めた頃でした。歴史ある大手企業でさえ経営の厳しさが増す状況に、「転職しないことのリスク」を感じたのがきっかけです。日本TCSを選んだのは、人口減少が進む日本に対し、IT産業が成長を続けるインドの人々と働く経験が、自身のキャリアにとって大きな財産になると考えたからです。
──前職までのご経験も踏まえ、貴社SAP事業ならではの強み、優位性として何が挙げられますか。
第一にグローバルネットワークの強さです。現在も、アメリカやフランスのチームと協業するなど、国境を越えた連携が日常的に行われています。
加えて、コスト最適化やリソースの柔軟性も特長です。TCSはグローバルなネットワークを生かし、円滑な人材配置と迅速な体制構築を確立しています。急な増員が必要な場面でも、グローバルの拠点間で密に連携を取ることで、煩雑な契約手続きに時間をかけることなく、スピーディーに要員の確保に対応できます。
──働き方や組織カルチャーについてはいかがでしょうか。
日本TCSはグローバル企業ですが、過度に成果主義に偏らず、たとえ失敗したとしても、努力したプロセスが正当に評価される文化があります。また、意思決定と行動が迅速なため、変化に対応して情報をキャッチアップするなかで、柔軟な対応力が自然と磨かれる環境です。
私自身はSAPデリバリーヘッドとして、メンバー全員にチャンスが行き渡り、成長できる仕組みを作ろうという考え方のもと、プロジェクトアサインなどを配慮しています。個々の「やりたいこと」と「できること」の最適なバランスを共に模索していくことを大切にしているので、まずはキャリアに対する率直な気持ちを教えていただけたらと思います。
出典:ビズリーチ 公募ページ「日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社」
(2025年7月10日公開)より転載