お客さま:Alstom S.A. 設立:1928 年 |
日本企業は、長年にわたり、メインフレームのようなレガシープラットフォームやスクラッチ開発のアプリケーションに大きく依存しながら、会計業務や、経営層向けレポート業務、販売管理、生産管理をはじめとする企業の核となるビジネスプロセスを実行してきました。 そのため、業務やITシステムがサイロ化し、情報の流れに一貫性がなく、情報が組織全体に行き渡っていない状態が生じています。このようなレガシーシステムや独自開発への依存から抜け出し、デジタルや次世代のソリューションを取り入れようとする努力がなされていますが、多くの企業において、依然として取り組むべき課題が多く残されています。
その一方で、一部の企業においては、複雑な業務やITシステムの統合を経ずに、複数のシステムからデータを利用できるクラウドベースのデータプラットフォームの構築に注力する動きが始まっています。さらに、データの正確性、可用性、信頼性を維持するために、強力なデータガバナンスとデータスチュワード(独立したデータの「管財人」)のフレームワークを導入しています。
以下にご紹介するのは、グローバルの大手鉄道車両メーカー Alstom様の事例です。TCSはクラウドベースのマスターデータマネジメントソリューションの導入を通じて、Alstom様の中長期的なデジタルトランスフォーメーションを継続的にご支援しています。
長年、あらゆるテクノロジーを取り入れながら成長を続けてきたAlstom様は、乱立する数多くのアプリケーションに関わるデータをいかに管理するかという課題に直面していました。データの一貫性が十分に担保されないレガシーシステムを使用しており、その管理プロセスも最新のものではありませんでした。グローバルに展開する鉄道車両メーカーであるAlstom様は、企業全体のデータ品質と一貫性を確保するための抜本的なデータガバナンス改革に着手したいと考えていました。
TCSはAlstom様の戦略的デジタルサービスパートナーとして、データの品質担保、継続的な維持管理を実現するために、クラウド型マスターデータ管理 (MDM:Master Data Management) プラットフォームを導入しました。このプラットフォームは、個別要件に応じてアプリケーションをその場で生成することができる、TCS独自の「what-you-model-is-what-you-get」(モデリングしたそのままの仕組みを得ることができる)という思想に基づいて設計されています。このプラットフォームの導入により、Alstom様は、長期間コストのかかる旧来的な開発プロジェクトを行う必要がなくなりました。
TCSのMDMプラットフォームは、複数のアプリケーションや業務プロセスにまたがるすべてのビジネスデータの単一情報源としての機能を果たします。敏捷性や柔軟性が担保されたデータモデルは、このプラットフォームの直感的に操作可能な検索機能を実現し、情報に基づいた意思決定を支援します。データの正確性、透明性、コンプライアンスの向上に加えて、データガバナンスの確立というAlstom様の目標実現に、TCSはその変革における戦略的パートナーとして貢献しました。
業務効率の向上に加え、MDMプラットフォームを活用することで、新たに買収する企業の業務やITシステムを以前よりも迅速に統合することができるようになり、M&Aに関わるプロセスをよりシンプルなものにすることができました。ビジネスデータへの素早く、正確なアクセスが可能となったことで、このプラットフォームはコンプライアンスの維持と迅速な意思決定にも貢献しています。
※掲載内容は2021年8月時点のものです