航空宇宙業界の経営幹部の約60%が、AIが主導する未来の製造工程においても人間の専門知識は依然として必要不可欠であると回答
航空宇宙業界の回答者の約3分の2が、サプライチェーンの運用をエージェント型AIに任せることに前向きな姿勢
このページは、2025年9月10日(現地時間)、米国ワシントンD.C.ならびにインド・ムンバイで発表したプレスリリースの日本語訳です。発表内容の詳細は原文をご覧下さい。
ワシントンD.C. | ムンバイ、2025 年 9 月 10 日:タタコンサルタンシーサービシズ(TCS)の最新の調査で、航空宇宙業界の経営幹部の 3 人に 1 人が、リアルタイムの意思決定を可能にするAIが、2035 年までに航空機製造における最大の変革の原動力になると考えていることが明らかになりました。
「TCS Future-Ready Skies Study 2025」と題した今回の調査では、航空宇宙企業が製造、保守、モビリティ、サプライ チェーンの各分野で、デジタルと AI を活用した未来に向けてどのように準備を進めているかを調査しています。
航空宇宙業界の企業は、インテリジェントで持続可能なオペレーションへの投資を加速させつつあり、本調査はこうした過渡期にある航空宇宙業界の姿を捉えています。生産工程の平均60%で人間の関与が今後も不可欠であるとメーカーが見込んでいることが明らかになり、人間の専門知識とAIが連携するハイブリッドな未来の姿を浮き彫りにしています。航空宇宙業界の経営幹部は、AIが変革を牽引する一方で、デジタルツインやロボティクスも変革の重要な推進力になると見ています。
本調査は、欧州および北米の航空宇宙メーカー、先進航空モビリティ(Advanced Aero Mobility:以下、AAM)企業、整備・修理・オーバーホール(Maintenance, Repair, Operations:以下、MRO)事業者、電動垂直離着陸機(electric Vertical Take-Off and Landing:以下、eVTOL)製造企業など、323名超の航空宇宙業界の経営幹部を対象として実施しました。
航空宇宙市場は2030年までに1兆ドルを超え、MRO分野だけでも1,370億ドルに達すると予測されており、今回の調査は業界の現状を把握し、未来を見据える上で重要な指標となります。また、eVTOLの認定取得が見込まれることや、世界的なサプライチェーンにおける規制・運用の複雑化といった重要な動向も反映しています。
Boomi 会長 兼 最高経営責任者(CEO)のスティーブ・ルーカス(Steve Lucas)氏は、次のように述べています。
「Future-Ready Skies Studyによれば、航空宇宙業界は大転換期にあり、AIの可能性を最大限に引き出すには基礎固めが不可欠です。ただし、変化を起こせるか否かは、AIの性能以前に人間がその仕組みを信頼できるか否かにかかっており、その信頼はデータから始まります。エージェント型AIは、繋がり合い、信頼性の高い強固なデータ基盤上に構築されてはじめて成功します。複雑なエコシステムを統合、連携させることで、企業は意思決定を迅速化し、イノベーションを拡大し、他社にはない強みへと転換できるでしょう」
調査で明らかになったインサイト
TCS 製造部門プレジデントのアヌパム・シンガル(Anupam Singhal)は、次のように述べています。
「航空宇宙業界はこれまで、大きな目標を掲げつつも、精密性と安全性を最優先に歩んできました。しかし、いまやAIが単なる業務支援から企業戦略そのものを形づくる存在へと進化しつつある中で、そうした目標は書き換えられようとしています。これにより、顧客(乗客)体験や安全性、そして持続可能性はいっそう向上するでしょう。TCS はこの転換期を、航空宇宙企業がレジリエントで適応性の高いエコシステムを築き、大胆かつ革新的に航空業界の未来を切り拓く上で、当社の強みが活かせる好機であると捉えています」
従来にもまして多くの企業が基盤技術への投資を進めるにつれて、バリューチェーン全体でリアルタイムの意思決定力と業務の透明性を高める準備が整いつつあります。しかし、今回の調査結果では、注目すべきひとつの要点として、Tier 1サプライヤーに問題が生じた際、30日以内に調達先を切り替えられると答えた航空宇宙企業はわずか約3分の1(28%)にとどまり、現在のサプライチェーンがいかに脆弱であるかが明らかになりました。MRO分野では、高度な自動化に向けた基盤整備が始まっていますが、検知から修理判断まで完全自律で実行できるプロセスを2030年までに実現できると見込む企業はわずか2%にすぎません。
一方、電気航空機を含め急速な成長途上にあるAAM分野では、調査対象企業の70%が商用プラットフォームの構築に積極的に取り組んでいることから、業界の次世代モビリティへに対する強いコミットメントも示されています。規制、経済、インフラなどの課題は依然として存在しますが、業界全体が普及に向けて着実に障壁を克服しつつあります。
さらに、デジタル変革の進展は、ROIへの具体的な期待としても表れています。調査に協力した航空宇宙企業の経営幹部の32%が、MRO関連技術への投資は3年以内にコストを回収できると見込んでおり、80%の企業が将来的なリスクや非効率性を低減する上でデジタル化の加速が不可欠だと認識しています。こうした状況は、単に投資が拡大しているだけではなく、投資に見合う成果が現実的に期待できるようになりつつあることを示しています。つまり、業界が単なる進化にとどまらず、インテリジェンス、アジリティ(俊敏性)、そしてレジリエンス(回復力)を備えながら未来を牽引する準備を整えつつあることを意味しています。
TCSは、数十年にわたる豊富な経験を背景に、航空宇宙および防衛産業のバリューチェーンで信頼されるパートナーとして、OEM、主要サプライヤー、航空会社、空港、そしてMRO企業を幅広く支援しています。TCSのエンド・ツー・エンドのケイパビリティは、コンサルティング、エンジニアリング、ITモダナイゼーション、デジタルソリューションなど広範囲を網羅し、製品ライフサイクル全体にわたってイノベーションを推進し、企業が常に将来に備えられるよう支援しています。航空分野での30年にわたる実績を活かし、TCSは世界の大手航空会社と提携し、コンサルティング主導のイノベーション、コグニティブ技術を活用した幅広いビジネスソリューション、テクノロジーおよびエンジニアリングサービスを提供しています。さらに業界特化型ソリューションも活用し、例えば、統合された自律型かつクラウド型のデジタルソリューションのTCS Aviana™(TCSアヴィアナ)は、航空業界向けにインテリジェントな業務運営を支援しています。
以上
タタコンサルタンシーサービシズ(TCS)について
タタコンサルタンシーサービシズは、世界の様々な業界を牽引する大手企業からデジタル変革およびテクノロジーパートナーに選ばれています。1968年の創業以来、最高水準のイノベーション、卓越したエンジニアリング、カスタマーサービスを提供してきました。
タタ・グループ の伝統を礎とするTCSは、お客さま、投資家、従業員、そして地域社会に長期的な価値を創造することに注力しています。世界55カ国に61万3,000人を超えるコンサルタントを擁し、世界180カ所にサービスデリバリーセンターを擁するTCSは、世界各地でトップ・エンプロイヤーに認定されており、新技術を迅速に適用・拡張する能力を活かしながら、お客さまとの長期的なパートナーシップを構築し、適応力のある企業への成長と変革を支援しています。こうした関係は数十年にわたり継続し、1970年代のメインフレームから現在のAIに至るまで、あらゆるテクノロジーサイクルを乗り越えてきました。
TCSは、人々の健康、サステナビリティ、さらに地域社会のエンパワーメントの促進に重点を置き、TCSニューヨークシティマラソン、TCSロンドンマラソン 、TCSシドニーマラソンなど、世界で最も権威ある14の都市マラソンおよび耐久レースをタイトルスポンサーとして支援しています。2025年3月31日を期末とする会計年度において、TCSの連結売上高は300億米ドルに達しました。
TCSの詳細についてはwww.tcs.com をご覧ください。