ムンバイ、2025年10月9日:ITサービス、コンサルティング、ビジネスソリューション企業であるタタコンサルタンシーサービシズ(TCS)は、Ind AS(インド会計基準)およびIFRS(国際財務報告基準)に基づき、2025年9月30日を末日とする四半期の連結決算を発表しました。
2025年9月30日を末日とする四半期の業績ハイライト
- 売上高: 74億6,600万ドル、前四半期比0.6%増、恒常通貨ベースで前四半期比0.8%増
- 海外売上高: 恒常通貨ベースで前四半期比0.6%増
- 幅広い業種で伸長。特に、銀行・金融・保険(恒常通貨ベースで前四半期比1.1%増)、テクノロジー&ソフトウェアサービス(恒常通貨ベースで前四半期比1.8%増)の継続的な成長が牽引
- ライフサイエンス&ヘルスケア(恒常通貨ベースで前四半期比3.4%増)、製造(恒常通貨ベースで前四半期比1.6%増)、通信・メディア・情報(恒常通貨ベースで前四半期比0.8%増)が、業界特有の課題を抱えながらも伸長
- 営業利益率: 25.2%、前四半期比で70ベーシスポイント増
- 純利益: 14億6,400万ドル、前年同期比3.0%増 | 純利益率:19.6%
- 営業キャッシュフロー: 純利益の110.1%
- 第2四半期の契約総額(TCV): 100億米ドル
- 1株当たり配当額: 11ルピー(基準日は2025年10月15日、支払日は2025年11月4日)
TCS CEO(最高経営責任者)兼マネージングディレクターのK クリティヴァサン(K Krithivasan)は、次のように述べています。
「第2四半期も堅調な業績を達成できたことを大変嬉しく思います。社員一人ひとりの弛まぬ努力と高い専門性が支えとなりました。TCSは、世界最大のAI主導型テクノロジーサービス企業を目指し、人材、インフラ、パートナーエコシステム、お客さまへの価値創出など、あらゆる領域で変革を進めています。世界水準のAIインフラ事業の構築は、当社が変革に真剣に取り組んでいることを示すものです」
TCS エグゼクティブディレクター プレジデント 兼 COO(最高執行責任者)のアルティ・スブラマニアン(Aarthi Subramanian)は、次のように述べています。
「データ、クラウド、AIを活用した全社的変革が、第2四半期の堅調な成長を牽引しました。私たちは、スピード、効率性、成長の実現に向け、迅速な価値創出に重点を置いてお客さまと取り組んでいます。TCSが開催したAIハッカソンは、これまでにない規模、多様性、革新性を備えたイニシアチブとして、AIファーストの組織文化の醸成を図りました。新設したAI&サービス変革部門により一層連携・拡大していきます」
TCS CFO(最高財務責任者)兼エグゼクティブディレクターのサミール・セクサリア(Samir Seksaria)は、次のように述べています。
「当四半期は、すべての事業分野で堅調な成長を達成しました。規律ある事業運営により、戦略的な投資を進めながら利益率を拡大することができました。賃金引き上げ、将来を見据えたケイパビリティの構築、新たなパートナーエコシステムの確立を優先的に進めています。今後も、当社の強固な財務基盤と安定したバランスシートは、当社のビジョンに沿った社内変革の取り組みと社外投資の両方を支える基盤となります」
TCS CHRO(最高人事責任者)のスディープ・クンヌマル(Sudeep Kunnumal)は、次のように述べています。
「TCSが世界最大のAI主導型テクノロジーサービス企業を目指すにあたり、この重要な責任を担うことになり、大変光栄に思っています。この意欲的なビジョンの実現に向けて、社員や関係者の皆さまと共に取り組めることを楽しみにしています」
2026年度第2四半期の部門別ハイライト
産業分野別
産業分野
|
構成(%)
|
Q-o-Q*
CC***成長率(%)
|
Y-o-Y**
CC***成長率 (%)
|
Q2 FY25
|
Q1 FY26
|
Q2 FY26
|
銀行・金融・保険
|
30.8
|
32.0
|
32.2
|
1.1
|
1.0
|
消費者向けビジネス
|
15.2
|
15.6
|
15.3
|
- 1.0
|
- 2.9
|
ライフサイエンス&ヘルスケア
|
10.3
|
10.2
|
10.5
|
3.4
|
- 2.2
|
製造
|
8.6
|
8.7
|
8.8
|
1.6
|
- 1.1
|
テクノロジー&サービス
|
8.0
|
8.4
|
8.5
|
1.8
|
2.8
|
通信&メディア
|
5.9
|
5.8
|
5.9
|
0.8
|
- 5.1
|
エネルギー・資源・公共
|
5.7
|
5.9
|
5.9
|
0.6
|
0.2
|
その他の産業分野
|
15.5
|
13.4
|
12.9
|
- 1.1
|
- 18.1
|
合計
|
100.0
|
100.0
|
100.0
|
0.8
|
- 3.3
|
市場別
地域
|
構成(%)
|
Q-o-Q*
CC***成長率(%)
|
Y-o-Y**
CC成長率(%)
|
Q2 FY25
|
Q1 FY26
|
Q2 FY26
|
アメリカ
|
|
|
|
|
|
北米
|
47.6
|
48.7
|
48.8
|
0.8
|
- 0.1
|
ラテンアメリカ
|
1.8
|
1.9
|
1.9
|
0.3
|
1.8
|
欧州
|
|
|
|
|
|
英国
|
17.0
|
18.0
|
17.5
|
- 1.4
|
- 1.9
|
欧州大陸
|
14.6
|
15.0
|
15.3
|
1.4
|
- 3.0
|
アジア太平洋
|
8.0
|
8.4
|
8.3
|
0.3
|
2.0
|
インド
|
8.9
|
5.8
|
5.8
|
4.0
|
- 33.3
|
中東・アフリカ
|
2.1
|
2.2
|
2.4
|
5.9
|
12.7
|
合計
|
100.0
|
100.0
|
100.0
|
0.8
|
-3.3
|
*前期比
**前年比
***恒常通貨ベース
主な契約案件
- ALDI SOUTHとの戦略的パートナーシップを延長し、グローバル規模でITインフラとアプリケーション環境のモダナイゼーションを推進します。この取り組みの一環として、TCSはクラウド運用ソリューションを提供し、自動化の推進、サイバーレジリエンスの強化、サービス提供力の向上を図るとともに、コストと複雑性を低減します。この長期的なコラボレーションにより、TCSはALDI SOUTHの信頼できるテクノロジーパートナーとしての役割をさらに強化し、同社がスケーラブルで柔軟、かつ将来を見据えた企業体制を構築できるよう支援します。
- 北米に本社を置く多国籍油田サービス企業Weatherford Internationalとのパートナーシップを拡大し、高度なAIソリューションを活用して財務、サプライチェーン、人事などの重要分野で業務効率の向上を図ります。TCSは、自動化、AI、デジタル最適化に関する専門知識を活かし、Weatherfordの全社的なビジネス変革施策を推進します。
- フィリピンのNOW Corporationの通信部門と提携し、国内デジタル主権の強化、金融包摂*の推進、クリーンなネットワーク構築を支援します。今回締結した覚書(MoU)に基づき、TCSは信頼性の高いネットワークの拡張、ソブリンクラウド**の技術とサイバー防御ソリューションの提供、および市民中心の堅牢なサービスの創出を支援します。
*貧困や差別、地理的な事情によって金融サービスから取り残されている人々を含め、皆がそれぞれのニーズに合った金融サービスを適切に利用できるようにする取り組み。
**特定の国や地域の法律・規制に準拠し、データ主権を確保するクラウドサービス。
- メキシコシティに新たにAI活用オペレーションセンターを開設し、メキシコとラテンアメリカにおけるイノベーション加速へのコミットメントを改めて示しました。TCSは過去22年間で、メキシコにおいて11,000人以上の高度なスキルを持つ従業員を育成してきており、新オフィスは当社にとってメキシコ国内8か所目のオペレーションセンターとなります。
- フィンランドの大手小売グループKeskoより、北欧およびバルト地域におけるコアテクノロジー基盤の変革を推進する戦略的ITパートナーに選ばれました。このパートナーシップは、Keskoの業務のモダナイゼーション、ビジネスの俊敏性向上、そして長期的な成長拡大戦略の支援において重要な役割を果たし、対象となる事業領域は、食品、自動車、建築、技術関連分野に及びます。
- アマゾン ウェブ サービス(AWS)上でマルチリージョン災害復旧(DR)の切り替えを完全自動化できるよう、ICICI Lombardを支援しました。これにより、ICICI Lombardはインド国内の保険会社として、AWSクラウド上で完全自動化されたマルチリージョンのレジリエンスを実現した初期の企業の一つとなります。
- フィリピンの大手製薬・ヘルスケア企業Unilab, Inc.とのパートナーシップを発表しました。戦略的なクラウド移行を通じて、同社のコア業務システムのモダナイゼーションを推進します。この変革により、Unilabのデジタル基盤を強化し、運用の俊敏性を高め、長期的な事業成長を後押しします。
- オーストラリアのオーディオコンテンツを中心に提供している大手エンターテイメント企業ARN Mediaとの複数年にわたるパートナーシップを発表しました。これにより、自動化やグローバル配信の最適化を組み合わせ、クラウドファーストのデータプラットフォームを構築することで、業務の効率化を図ります。
- 半導体企業が従来のチップ設計の限界を超えられるよう支援する、チップレットベースのシステムエンジニアリングサービスの提供開始を発表しました。世界的に先進半導体に対する需要が高まる中、チップレット(大型チップを構成する小型集積回路)を活用して、半導体メーカーがより高速で効率的、かつ高性能なプロセッサを提供できるよう支援します。
- ニュージーランド最大の小売グループWarehouse Groupとの戦略的パートナーシップを締結し、同グループのデジタル変革の次なる段階を支援します。このパートナーシップの下、TCSはプラットフォームの統合と合理化を通じて、技術基盤のモダナイゼーションと変革に注力し、小売バリューチェーン全体にわたって既存投資の価値を最大化します。また、同グループの業績向上に必要なケイパビリティやサービスの構築も支援します。
リサーチ&イノベーション
2025年9月30日現在、TCSは当期に申請した239件を含め、9,226件の特許を出願中で、当期に取得した147件を含め、これまで5,086件の権利を取得しています。
当四半期の主な契約案件
- 世界有数の先進的研究機関であるCEAと提携し、フィジカルAIソリューションのイノベーションと実用化を加速させます。フィジカルAIは、ロボット工学、AI、インテリジェントシステムを組み合わせて、機械が物理的世界を理解し、判断・行動できるようにする技術で、産業プロセスのデジタルトランスフォーメーションとモダナイゼーションを推進します。TCSは、フランスのCEA傘下にあるインテリジェントデジタルシステム分野の先端研究所とともに、実世界への応用に向けた先進的なフィジカルAI搭載システムの設計、開発、展開を推進します。
- Qualcommと提携し、インドのベンガルールに共同でイノベーションを推進する「TCS Innovation Lab(TCSイノベーションラボ)」を設立しました。TCSとQualcommは、Qualcomm®プラットフォームを活用し、ソフトウェア主導のアプローチへの移行を進める業界向けに、スマートで拡張性が高く、持続可能なエッジAI機能を共同で開発し、システムの効率性とレジリエンス(回復力)を高めるソリューションを提供します。この共創ラボにより、インテリジェントデバイス上で、現場でリアルタイムに展開可能なカスタマイズされた低コストソリューションを開発し、大企業の業務プロセスの効率化を支援します。
- インドのソブリンクラウドエコシステムの開発を加速するため、Centre for Development of Advanced Computing(C-DAC:先端コンピューティング開発センター)と覚書(MoU)を締結しました。インドが自立的で安全なデジタル基盤の構築に注力する中、この提携により、スケーラブルかつAI対応のクラウドプラットフォームを提供し、インドのデータ国内保管(データローカリゼーション)規制に準拠しながら、重要な公共部門サービスのデジタル変革を支援します。
- MIT Sloan Management Review(MIT SMR:米国マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院が発行する経営学ジャーナル 兼 出版社)と共同で、大企業における人間とAIの協働の次の段階を探る新たな研究プロジェクトを立ち上げました。世界中の企業がAI主導のソリューションを積極的に導入して業務変革を進める中で、この複数業界を対象とした研究では、グローバルな企業環境におけるAI活用の新たな枠組みを深く探究しています。
- インド工科大学カンプール校(IIT Kanpur)と提携し、持続可能な都市化というインドが直面する最重要課題の一つに取り組んでいます。インド工科大学カンプール校は、インド教育省(Ministry of Education)と住宅都市省(Ministry of Housing and Urban Affairs)の支援を受けてAIRAWAT研究財団を設立し、都市づくりのあり方を再構築する取り組みを進めています。このパートナーシップの一環として、TCSと同財団はAIや先進技術を活用し、インドにおける大規模な都市計画の課題解決に取り組みます。
受賞歴
- Brand Financeの「Technology 100 2025」ランキングにおいて、世界のテクノロジーブランド上位20社の一つに選出されました。
- Newsweek誌の「America's Greatest Workplaces by State(アメリカで最も働きがいのある企業)」ランキングのニューヨーク州部門にランクインし、優れた雇用主としての実績が改めて評価されました。
- GSA UK Global Sourcing Association UKより、「Service Provider of the Year 2025(2025年英国サービスプロバイダー・オブ・ザ・イヤー)」をはじめ、「Strategic Sourcing Team of the Year(年間戦略的ソーシングチーム賞)」、「Utilities Programme of the Year(年間ユーティリティプログラム賞)」、「Business Services Programme of the Year(年間ビジネスサービスプログラム賞)」の計4つの部門で表彰されました。
- 「Red Hat Ecosystem Awards 2025(2025年Red Hatエコシステムアワード)」において、「Excellence in Innovation Award (イノベーション優秀賞)」を受賞しました。
- 「Amazon Nova Partner Demo Competition」で、エージェントAIを活用したヘルスケアデモが首位を獲得しました。
- 英国Lloyds Banking Group(ロイズ銀行グループ)とのパートナーシップにおけるAdaptive Cloud Management Suite(適応力のあるクラウド管理統合ソリューション)が評価され、「Cloud Excellence Awards 2025(2025年クラウドエクセレンスアワード)」で「Cloud Management Solution of the Year Award(クラウド管理ソリューション・オブ・ザ・イヤー賞)」を受賞しました。
- AXAの2025年開催のサプライヤー向けイベントで、サービス品質(QoS)の基盤構築が評価され、表彰されました。
- 「International Business Awards(通称International Stevies)」で、ブランド体験、サステナビリティ、製品・サービス、テクノロジーの各分野における卓越した取り組みが認められ、複数の賞を受賞しました。
- 「Brandon Hall Group Excellence Awards 2025(2025年ブランドンホールグループ エクセレンスアワード)」において、学習戦略の実践、人材管理、メンタリング、人材育成施策、ダイバーシティ、コンプライアンス、その他の人事プログラムが評価され、複数の表彰を受けました。
- 「Inquirer ESG Edge Impact Awards 2025」で、4つの金賞を受賞しました。
- 小売業向けソリューションCustomer Intelligence & Insights™が、「MarTech Breakthrough Awards 2025(2025年マーテック・ブレークスルー・アワード)」において、「Marketing Leadership(マーケティングリーダーシップ)」カテゴリーの「Best Retail Technology Solution(最優秀小売テクノロジーソリューション)」部門を受賞しました。
以上