イベント開催レポート
DCECのツアーでは、「擬人化・超人化」をビジョンとしたロボティクスソリューションに関するデモをメインに、モノの感触の伝達と数値化を行う先進的な通信技術「リアルハプティクス」をご参加の皆様に体験していただくと共に、生成AIとロボットを組み合わせた対話型ロボットアームの操作についてデモを実施しました。
リアルハプティクスとは、ロボットを媒介としてモノの感触の伝達と数値化を実現する力触覚再現技術です。「位置」と「力」の2つを遅延なく双方向に通信できることが革新的なポイントになります。
リーダー側でロボットハンドを操作すると、遠隔地にあるフォロワー側のロボットハンドがモノをつかみ、その感触がリーダー側に伝わります。感触を定量化できるため、柔らかい物体、固い物体を認知して、適切な力でつかむことができます。遠隔操作や自動化の他、仮想空間での感触再現(VR)にも応用が可能です。
デモでは参加者がリーダー側のロボットハンドを操作し、フォロワー側で対象をつかんで一定の場所に移動させる操作を体験。また、固さの異なるモノの感触の違い、ポテトチップスを割らないようにそっとつかむ動作などを体験して、実際の感触や力のかけ方を確認していました。
この技術は、一連の動作をロボットに記録させて、その後繰り返す操作に利用できます。例えば、山岳トンネルの掘削作業における自動火薬装填システムや、左官職人による遠隔での壁塗り、遠隔でのPCR検査ロボットなどで実証実験が行われています。
対話型ロボットアームは、文字や言葉でヒトが与えた任意の指示を基に自ら考え、稼働するロボットです。LLMがその文脈を認識してタスクを自動生成し、ロボットがタスクを実行します。ヒトが与えた指示が不明瞭であれば、ロボットからヒトに聞き返す、双方向に対話をするロボットであることが革新的なポイントとなります。製造現場における組み立てラインの自動化や、非定型作業の自動化、スキルに個人差がある作業者へのサポートなどのユースケースが想定されています。デモでは、作業台に置かれた複数の物品から、指定したものを選択して特定のエリアに移動させる「ピック&プレイス」を実施しました。
作業者がUI画面に向かって「コーラをつかんでエリアの3番に置いて」と呼びかけると、カメラが学習モデルに基づいて物体の形状、向き、深度などを認識し、物体をつかむ箇所を自動計算、物体をつかんで指定されたエリアまで運んで離します。デモでは、ストロベリーチョコレートの箱をつかんで移動させるタスクにおいて「チョコ」「ストロベリー」といった単語で指示した場合でも、正しく認識することも説明しました。
「双方向通信による力触覚の再現」と「対話による双方向コミュニケーション」により、ヒトとロボット間の心理的安全性を担保しつつ、ヒトのように、柔軟な動きに基づく非定型作業の実施が可能となります。さらに、デジタルツインを組み合わせれば、効率的な非定型作業の自動化も望めます。
Q. DCECでは、実際の業務に即した課題解決に対応してもらえるのでしょうか。
A. ディスカッションを重ねて、PoC(概念実証)を行うこともできます。
Q. 現場の環境や商習慣に影響されることはないのでしょうか。
A. 外的要因やネットワーク環境の影響はあるものの、TCSはソフトウェア開発やインフラ構築でも対応できます。
小川 健司
IoT&デジタルエンジニアリング統括本部 テクニカルリードIoTエンジニア
角瀬 巧
IoT&デジタルエンジニアリング統括本部 プリセールス
北原 春菜
IoT&デジタルエンジニアリング統括本部 デベロッパー
※ 掲載内容は2025年3月時点のものです。
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