物流現場の技術革新 - 豊田自動織機の挑戦をTCSのAIが後押し
豊田自動織機 片江 健一 氏
TCS Summit Japan 2024レポート / Client keynote speech
豊田自動織機 片江 健一 氏
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豊田自動織機 執行職 ITデジタル統括 トヨタL&Fカンパニー AR開発部担当の片江 健一氏が登壇し、「スマート物流時代のビジネス変革〜デジタルを友に」と題した講演を行いました。
豊田自動織機は1926年の創業以来、創業者・豊田佐吉の精神を受け継ぎ、研究開発とイノベーションを重視しながら、社会課題の解決にも取り組んできました。同社は自動織機の製造販売からスタートし、1937年には自動車部がトヨタ自動車工業(現在のトヨタ自動車)として分離独立するなど、トヨタグループの源流企業として発展を続けています。現在、従業員約7万6000名、連結子会社277社を擁し、事業構成として産業車両が売上の約7割、自動車関連が約3割、祖業の繊維機械が2.4%を占めています。
片江氏は、物流業界を取り巻く環境について説明しました。脱炭素化やeコマースの拡大、労働力不足といった社会課題に加え、2024年4月からはトラック運転者の労働時間規制が強化され、物流業界に構造的な変革が求められています。また、IT人材の不足も懸念される中、デジタル化への対応も急務となっています。同社の製品が活躍する物流現場では、情報収集から指示・確認までのプロセスを人手に頼らない仕組みづくり、自動化、IT化が加速しています。
こうした状況下で、同社は「事故ゼロ」「カーボンゼロ」「オペレーターゼロ」の“3つのゼロ”を目標に掲げ、自動化やコネクティングを軸にしたソリューションの提供を進めています。垂直・水平搬送機器にこれらの技術を応用し、労働力不足や物流ニーズに応えようとしています。自動運転フォークリフトなどの開発では、AIを活用し、自己位置認識やパレット位置・姿勢検知、自動経路生成を可能にしています。さらに、デジタルツインを用いて課題を仮想環境で抽出し、開発の効率化を図っています。
また、事例として、空港などで、手荷物・貨物を収容したコンテナを牽引する車両であるトーイングトラクターの自動化を挙げました。路面パターンマッチングや障害物検知技術を用いて安全性を確保しています。羽田空港での実証実験を実施、早期の実用化を目指しています。
同社は、自動化車両だけでなくそれらを統括管制する上位システム開発を進めるとともに、AIを組み込み情報統合することで、新たな物流ソリューション・サービス提供を目指し、モノ売りからコト売りへのビジネスモデルの転換を図っています。
さらに、同社は早期から生成AIを活用しており、TCSの支援を受けながら従業員がその技術を活用できる体制を整えています。特にソフトウェアエンジニアは、生成AIを用いて自ら開発したコードをチェックし、製品開発を進めています。AIは開発支援だけでなく、製品の品質向上や差別化の要素としても重要な役割を果たしており、今後もその活用を強化していく方針です。
片江氏は、自動運転分野の発展には外部パートナーとの連携が不可欠であると強調し、「AIのためのデータ収集においてTCSから多大な支援をいただいています。特に自動運転分野では、TCSを重要なパートナーと位置づけており、今後もさらなる協力をお願いしたいと考えています」と期待を寄せました。
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