先駆者が語る、トランスフォーメーションに求められる“3つのA”
三菱重工業 田崎 陽一 氏 | 竹中工務店 岩下 敬三 氏 | 日本TCS(モデレーター)
TCS Summit Japan 2024レポート / Panel session
三菱重工業 田崎 陽一 氏 | 竹中工務店 岩下 敬三 氏 | 日本TCS(モデレーター)
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三菱重工業の田崎 陽一 理事(デジタルイノベーション本部長)と竹中工務店の岩下 敬三 執行役員(デジタル担当、工学博士)によるパネルセッションでは、まず両社におけるデジタル化の取り組みが紹介されました。
三菱重工業は、防衛や原子力分野で培った高度なデジタル制御技術とセキュリティ技術を強みとし、500以上の製品群で豊富なノウハウを蓄積してきました。これらの技術を活用し、製品群とデジタル技術を「かしこく・つなぐ」新たな価値創造を推進しています。同社は先進制御技術プラットフォーム「ΣSynX」の展開や、ガスタービンにCO2回収装置を組み合わせたカーボンニュートラル製品の開発を進めており、高信頼・高精度なソリューションを提供しています。これらの取り組みが評価され、「DXグランプリ2024」を受賞しています。(田崎氏プレゼンテーションより)
竹中工務店は、1610年の創業以来、建物の企画・設計・施工から維持管理まで一貫して手がけてきました。現在、建設業界は年間総労働時間上限規制と人手不足という大きな課題に直面しており、その解決にはデジタル技術が不可欠とされています。同社は特にデジタルツインの実現を目指し、現場でのデータ収集やAIの活用を進めています。また、社員8000人の情報収集、判断、行動をすべてデジタル化する取り組みを進めており、2030年までに事業全体のデジタル化を目指しています。さらに、顧客への迅速な価値提供や、すべての関係者をデジタルでつなぐ建設デジタルプラットフォームの構築にも取り組んでいます。(岩下氏プレゼンテーションより)
Q&A:変革に必要な“3つのA”とは
変革への気づきである「Awareness」とは
岩下氏は「2010年代に海外のデジタル化の進展を目の当たりにして、日本の建設業界の将来に危機感を抱きました。全社的な変革には投資とコンセンサスが必要で、そのためには変化を起こす仲間づくりも重要で当初は苦労しました」と、自身の気づきのエピソードを共有しました。
「Agility(スピード)」とは
日本企業は協調して物事を進める傾向にあり、素早い行動が苦手と指摘されることもあります。田崎氏からは「各事業部での標準化を進める中で、基本計画から個別に始めるのではなく、意識の高い事業部から順次導入を行っています。TCSには、グローバルでの成功事例を活用した支援で、私たちの変革を加速させることを期待しています」とコメントをいただきました。
「Adaptiveness(適応力)」とは
新しい技術を採用する際、仕事のやり方を変えずに、表面だけをカスタマイズして変革が進まないというケースも見られます。田崎氏は、経営層と現場では視点が異なるため、それぞれの立場でのメリットを丁寧に説明する必要があるとし「各層に対して、実証を通じて効果を示すことが重要です。現在、各部門を回って、皆が何を心配し何に興味を持っているのかを探り、共通の課題を見つけることに注力しています」と話しました。
岩下氏は「会社の方針を変えるには、まず経営層の関心を引き付けることが重要です。デジタル部門所属員全員の意識改革も大切です。自分たちが会社を変革していくのだという意識を持ち、能動的に行動できるようなマインドチェンジが必要です」と話しました。
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